2020年 お知らせアーカイブ
卵巣癌患者に対してコンパニオン診断として相同組換え修復欠損(homologous recombination deficiency:HRD)の検査を実施する際の考え方
日本婦人科腫瘍学会 片渕秀隆
がんゲノム医療、HBOC診療の適正化に関するワーキンググループ
委員長 青木大輔
はじめに
2020年4月6日改定の「卵巣癌患者に対してコンパニオン診断としてBRCA1あるいはBRCA2の遺伝学的検査を実施する際の考え方https://jsgo.or.jp/opinion/02.html」に続き、今回、ゲノム不安定性(genomic instability status) 及び腫瘍におけるBRCA1 及び BRCA2(tBRCA)*1の状態に基づく相同組換え修復欠損(homologous recombination deficiency:HRD)の検査を実施する際の考え方について取りまとめた。
欧米ではこれまで、プラチナ製剤感受性再発卵巣癌の維持療法に対しては、BRCA1 及び BRCA2 (BRCA)病的バリアント(変異)*2の有無にかかわらずPARP阻害薬オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブの適応が認められている。わが国においては、オラパリブ(リムパーザ®錠)がプラチナ製剤感受性再発卵巣癌に対する維持療法として2018年1月に承認され、その後BRCA病的バリアント陽性、およびtBRCA病的バリアント陽性の卵巣癌患者に対して、初回化学療法後の維持療法として適応拡大がされている。また2020年12月に相同組換え修復欠損を有する卵巣癌におけるベバシズマブ(遺伝子組換え)を含む初回化学療法後の維持療法として承認された。
ニラパリブ(ゼジューラ®カプセル)は、2020年9月に卵巣癌における初回化学療法後の維持療法、プラチナ製剤感受性の再発卵巣癌における化学療法後の維持療法、プラチナ製剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌の治療薬として本邦で承認された。
相同組換え修復欠損を有する卵巣癌におけるベバシズマブ(遺伝子組換え)を含む初回化学療法後の維持療法としてオラパリブを考慮する場合、または再発卵巣癌の治療としてニラパリブを考慮する場合には、その適応を判断するため、コンパニオン診断としてHRD検査が必要となる。
卵巣癌の診療現場において、特に保険診療としての myChoice 診断システムによるHRD検査の実施を見据え「卵巣癌患者に対してコンパニオン診断として相同組換え修復欠損(homologous recombination deficiency:HRD)の検査を実施する際の考え方」を取りまとめた。会員諸氏におかれては, myChoice 診断システムによるHRD検査を実施するに際して、ここに示す内容を十分に勘案されたい。
I.HRD検査について
まずHRDとは、DNA修復機構の一つである相同組換え修復に異常がある状態のことを表し、卵巣癌を始めとする多くの癌で見られる特徴の一つである。BRCA1/2遺伝子は相同組換え修復機構に関与しており、BRCA1/2病的バリアントはHRDを引き起こす。それ以外にもHRDは様々な原因で起こるとされている。またHRDはゲノムの不安定性を引き起こすことが知られている。
HRDは卵巣癌におけるPARP阻害薬投与後のPFS延長に関連する因子であることが示されている(Heo et al., 2018, Ray-Coquard et al., 2019, Gonzalez-Martin et al., 2019, Coleman et al., 2019)。またトリプルネガティブ乳癌(triple negative breast cancer:TNBC)における化学療法感受性の予測因子及び予後因子としてのHRDの重要性が示されている(Belli et al., 2019)。
HRDの検査方法にはいくつかのものがあるが、2021年1月現在で、コンパニオン診断として製造販売承認されているものとして、tBRCAの病的バリアントの有無に加えて、ヘテロ接合性の消失(loss of heterozygosity:LOH)、テロメアアレルの不均衡(telomeric allelic imbalance : TAI)、及び大規模な状態遷移(large-scale state transition:LST)に関連する3つのゲノム不安定性によって評価されるmyChoice 診断システムによるHRD検査がある。myChoice 診断システムは、次世代シーケンシングベースの検査であり、腫瘍組織における tBRCA病的バリアントを検出・分類し、さらにゲノム不安定性を加味して、総合的に卵巣癌のHRDの有無を判定する。
myChoice 診断システムは、腫瘍組織を用いた検査であるが、生殖細胞系列病的バリアントを反映している可能性を想定し、本システムにおけるBRCA遺伝子病的バリアント陽性者に対しての対応や、腫瘍組織のBRCA (tBRCA)・生殖細胞系列由来のBRCA (gBRCA)・体細胞由来のBRCA (sBRCA) *1の違いを理解しておく必要がある。この点については、IV. 腫瘍組織における遺伝子検査について、で後述する。
Ⅱ. myChoice 診断システムによるHRD検査の実施における主治医の役割
① myChoice 診断システムによるHRD検査の実施は,主治医が患者に対してその検査の意義や限界について十分な説明を行う
② 卵巣癌の治療に従事し、myChoice 診断システムによるHRD検査を実施する可能性のある医師は、生殖細胞系列バリアントの同定につながる可能性を想定し、「遺伝性乳癌卵巣癌症候群診療の手引き」*3等を熟読し、各種関連学会や関連団体の主催するセミナーや講演会など*4に参加することが望まれる。
解説
myChoice 診断システムでは、ゲノム不安定性及びtBRCAの病的バリアントの有無によってHRDであるかどうかを評価するため、腫瘍組織によるBRCA遺伝子検査を含む。ただしmyChoice診断システムは腫瘍組織を対象とした遺伝子検査であることから、BRCA遺伝子のバリアントが生殖細胞系列(gBRCA)か体細胞由来(sBRCA)かの区別はできない。しかしながら、卵巣癌症例でmyChoice 診断システムにおいてtBRCAの病的バリアントが認められた時には、gBRCA病的バリアントの可能性が高いことより、遺伝学的検査としてgBRCAの検査(BRCA1/2遺伝子検査(SRL社)等)ができる機会を担保しておくよう配慮しておくことが求められる。
Ⅲ.コンパニオン診断としてのmyChoice診断システムによるHRD検査を実施する施設基準について
前述のとおり、本検査は卵巣癌の治療法決定に影響する検査であることから、やはり卵巣癌患者を担当する主治医が本検査の事前の説明と同意・了解の確認を行うことが適切と考えられる。主治医が、tBRCAとgBRCAとの関連性を理解するとともに、PARP阻害薬の有効性、安全性を十分理解したうえで実施することが求められる。ただし、本検査によりtBRCAの検査結果が陽性と判定された場合、BRCA遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントを有する可能性があり、生殖細胞系列の遺伝学的検査を行うことによって確定診断が必要になることから、① BRCA1/2遺伝学的検査を行うことのできる施設、もしくは② BRCA1/2遺伝学的検査を行うことのできる施設と連携体制を構築している施設で行われる必要がある。
BRCA1/2遺伝学的検査を行うことのできる施設については、「卵巣癌患者に対してコンパニオン診断としてBRCA1あるいはBRCA2の遺伝学的検査を実施する際の考え方https://jsgo.or.jp/opinion/02.html」に記載されている施設基準を下記に示す。
① 卵巣癌患者のBRCA遺伝子バリアントの検査は、婦人科腫瘍専門医、がん薬物療法専門医、または十分な卵巣癌の薬物療法の経験を有する産婦人科医が所属する施設で行う。
② gBRCA陽性患者ならびにその家族の遺伝カウンセリングは、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー等が所属する施設で行う。
③ ①②を同時に満たすことが望ましいが、満たさない場合には、遺伝カウンセリング体制の国内状況を考慮して、①の施設は ②の施設との連携のもとで検査を実施することを可とする。
IV.腫瘍組織における遺伝子検査について
卵巣癌患者においてPARP阻害薬は、腫瘍組織由来のtBRCA病的バリアントが陽性であれば、生殖細胞系列由来(gBRCA)か体細胞由来(sBRCA)かによらず、その効果が期待される。本邦における卵巣癌Ⅲ, IV期のgBRCA病的バリアント陽性率は24.1%と報告されている。一方、sBRCA病的バリアント陽性率(gBRCAは陰性)は5~7%前後と報告されている。すなわち、卵巣癌Ⅲ, IV期の腫瘍組織におけるtBRCA病的バリアント陽性率(gBRCA, sBRCA 双方を含む)は全体で約30%と見込まれる。前述した通り、myChoice 診断システムに含まれるBRCA遺伝子検査は、tBRCAの遺伝子検査であるため、BRCA1またはBRCA2遺伝子のバリアントが生殖細胞系列由来か体細胞由来かの区別はできない。しかしながら、卵巣癌症例でmyChoice 診断システムにおいてtBRCA病的バリアントが認められた時には、gBRCA病的バリアントが同定される可能性が高いことより、遺伝カウンセリングや遺伝学的検査を適切に提供できるようにしておく必要がある。その場合の対応については、日本医療研究開発機構(AMED)のゲノム創薬基盤推進研究事業 A‐②(研究代表者:京都大学 小杉眞司)で作成された 「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言―その1:がん遺伝子パネル検査を中心に(改定第2版)」*5に掲載されているので参照されたい。
また、BRACAnalysis診断システム(gBRCAバリアントの評価)によるコンパニオン診断を受けた卵巣癌患者において、gBRCA病的バリアントが陰性であっても、myChoice 診断システムによるHRD検査でsBRCA病的バリアントが明らかとなる場合があることより、生殖細胞系列バリアントと体細胞バリアントとを区別して説明しておくことが必要である。
なおHRDを引き起こす遺伝子はBRCA1/2以外にもRAD51C, RAD51Dなどがあり、それらHRD関連遺伝子の生殖細胞系列病的バリアント保持者では、卵巣癌をはじめとした癌発症リスクが高いことにも留意する必要がある。
おわりに
癌薬物療法では標準治療と呼ばれる薬剤の選択と使い方はあっても,その効果は個人差が大きい。一方、いくつかの癌分子標的薬ではコンパニオン診断の結果に基づいて薬剤が選択される。BRCAの病的バリアントやHRDがバイオマーカーとしての意義を有するPARP阻害薬も個別化医療の一躍を担うものと考えることができる。なおHRD検査は、今後複数のPARP阻害薬のコンパニオン診断として用いられると見込まれており、検査のタイミングについては薬剤、及び患者の状況毎に異なると考えられる。ただし保険上は患者1人につき1回に限り算定できることに注意が必要である。婦人科腫瘍領域では今後も癌細胞あるいは生殖細胞系列の各種DNA解析が臨床応用されると考えられるので、現時点から臨床遺伝学についても精通しておく必要がある。
注
*1 BRCA1/2 (BRCA)遺伝子に関する用語について解説する。腫瘍で検出されたBRCA病的バリアントについて言及する場合は腫瘍細胞のBRCA病的バリアントを示すtBRCA (tumor BRCA)を用いる。生殖細胞系列のBRCA病的バリアントについて言及する場合はgBRCA (germline BRCA)を用いる。腫瘍細胞にBRCA病的バリアントを有し、gBRCA病的バリアントがない場合については、体細胞にBRCA病的バリアントがあることを示すsBRCA (somatic BRCA)を用いる。
*2 最近では、「変異(mutation)」を「バリアント(variant)」と表記することが多くなっており、ここでは「バリアント」に統一した記載とした。ただし「バリアント」には遺伝子多型やVUSも含まれるため、「変異」を意味する場合には「病的バリアント」と表記する必要がある。参考までにMyriad CDx(Companion diagnostics)とACMG(米国臨床遺伝・ゲノム学会)での用語の使い方を下記表に示す。
Myriad CDx Classification |
ACMG Classification | ||
Variants | Mutations (as defined by Myriad) | Deleterious | Pathogenic |
Suspected Deleterious | Likely Pathogenic | ||
Not Mutations (as defined by Myriad) | Variant of Uncertain Significance (VUS) | Uncertain Significance | |
Favor Polymorphism | Likely Benign | ||
Polymorphism | Benign |
*3 「遺伝性乳癌卵巣癌症候群診療の手引き」2017年版 金原出版 (2017年10月刊行)
http://johboc.jp/guidebook2017/
*4 現在、HBOC等に関するセミナーや講演会などは、以下の各種関連学会や関連団体が主催している。
<関連学会・団体>
日本婦人科腫瘍学会 https://www.jsgo.or.jp/
日本産科婦人科学会 http://www.jsog.or.jp/
日本産科婦人科遺伝診療学会 http://jsgog3.umin.jp/
日本人類遺伝学会 http://jshg.jp/
日本遺伝カウンセリング学会 http://www.jsgc.jp/
日本遺伝性腫瘍学会 http://jsht.umin.jp/
日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構 http://johboc.jp/
日本臨床腫瘍学会 http://www.jsmo.or.jp/
*5 「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言―その1:がん遺伝子パネル検査を中心に(改定第2版)」 日本医療研究開発機構(AMED)ゲノム創薬基盤推進研究事業 A‐② :ゲノム情報患者還元課題―患者やその家族等に対して必要とされる説明事項や留意事項を明確化する課題「医療現場でのゲノム情報の適切な開示のための体制整備に関する研究」(研究代表者:京都大学 小杉眞司)https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20200121.html
がんゲノム医療、HBOC診療の適正化に関するワーキンググループ
委員長 青木大輔
委員 榎本隆之 岡本愛光 織田克利
竹原和宏 津田 均 永瀬 智
平沢 晃 万代昌紀 三上幹男
八重樫伸生 渡部 洋
2020年12月19日
ガーダシル®水性懸濁筋注シリンジの男性への接種の承認について
ガーダシル®水性懸濁筋注シリンジ(4価HPVワクチン)は、令和2年12月25日にヒトパピローマウイルス6、11、16及び18型の感染に起因する「肛門癌(扁平上皮癌)及びその前駆病変(肛門上皮内腫瘍(AIN)1、2及び3)の予防」並びに「尖圭コンジローマの予防(男性)」の効能又は効果を追加する適応拡大が承認されました。
これにより4価HPVワクチンについては、9歳以上の男性への接種が可能となりました。なお、現時点で男子への定期接種化(無料接種)はされておりません。
男性への接種は、男性個人の尖圭コンジローマ、肛門癌予防とともに、女性の感染機会減少に寄与し、子宮頸癌予防効果が加速されると期待されます。会員の皆様におかれましては、接種希望の男性(有効性を示した第III相臨床試験では26歳までが対象年齢)には接種をお勧めくださいますようお願い申し上げます。
公益社団法人日本婦人科腫瘍学会
理事長 片渕秀隆
常務理事 川名 敬
第66回学術集会会長の候補者募集のお知らせ
会員各位
「学術集会会長選考に関する内規」に従い、第66回学術集会会長の候補者を募集いたします。
締め切り:令和3年1月29日(金)
【必要書類】
1.理事本人の立候補の場合:立候補届のみ
学術集会会長立候補届(87KB)
【必要書類】
2.理事以外の会員が立候補する場合:立候補届および本学会理事1名の推薦状
学術集会会長推薦状(91KB)
【送付先】
〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402
公益社団法人日本婦人科腫瘍学会 事務局
第66回学術集会会長選考委員会 宛
学術集会会長選考委員会にて推薦者を決定し、理事会での承認を経て、
7月の総会で正式に決定されます。
公益社団法人日本婦人科腫瘍学会
理事長 片渕秀隆
事務局の年末年始の休業について
令和2年12月26日(土)~令和3年1月4日(月)の期間、年末年始休業となります。
上記期間は事務局は不在となりますので、ご了承下さい。
期間中にいただいたメールは、1月5日(火)以降に順次返信させていただきます。
ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
日本産科婦人科学会 編「子宮頸癌取扱い規約 臨床編 第4版」発刊のお知らせ
日本産科婦人科学会 編「子宮頸癌取扱い規約 臨床編 第4版」が発刊されました。
FIGO2018進行期分類に基づき、臨床的取扱いを一新しております。
下記、金原出版HPよりご購入いただけます。
https://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/detail.html?isbn=9784307301459
第17回日本婦人科がん会議のご案内
2021年2月5日(金)、6日(土)に開催されます第17回日本婦人科がん会議について下記のご案内を頂きましたので、ご確認下さい。
日本婦人科腫瘍学会
会員各位
第17回日本婦人科がん会議
当番世話人 平嶋 泰之
(静岡がんセンター婦人科 部長)
第17回日本婦人科がん会議開催のご案内
貴会会員の皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
このたび、2021年2月5日(金)-6日(土)に予定しておりました「第17回日本婦人科がん会議」につきましては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大予防と皆様の安全を考慮いたしました結果、やむなくWeb開催とさせていただくこととなりました。座長、演者の先生方には静岡にお集まりいただき、プログラム通りにWEBにてライブ配信する予定です。また、その後しばらくの期間はオンデマンドでWEB視聴できるようにいたします。なお、オンデマンドでWEB視聴できるのは共催プログラム以外のプログラムであることをご了承ください。
オンライン参加登録を下記のとおり行いますので、ご案内をさせていただきます。
つきましては、本会議を盛大かつ学術的にも実りあるものとするために、是非とも皆さまにご参加賜りたくお願い申し上げます。
記
会期:2021年(令和3年)
【ライブ配信】2月5日(金)– 6日(土)
【オンデマンド配信】2月15日(月)– 28日(日)
単位付与期間:2021年2月5日(金)– 6日(土)および2月15日(月)– 19日(金)
当番世話人:平嶋泰之(静岡がんセンター婦人科部長)
オンライン参加登録期間:2020年12月16日(水) 15:00 – 2021年2月28日(日) 13:00
※なお詳細につきましては、第17回日本婦人科がん会議ホームページ
(http://square.umin.ac.jp/jgcc17/index.html)にてご確認ください。
お問い合わせ先
第17回日本婦人科がん会議運営事務局
〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
株式会社MAコンベンションコンサルティング内
TEL:03-5275-1191(代表)/ FAX:03-5275-1192
E-mail:jgcc17@macc.jp
ASGO Workshop 2020 開催のご案内
日本婦人科腫瘍学会
会員各位
延期となっておりましたTAGO主催の6th ASGO International Workshopが
2020年12月19-20日にWebで開催されます。
詳しい情報は、以下のURLをご確認頂きますようお願い申し上げます。
ASGO2020 6th ASGO International Workshop
http://www.asgoworkshop2020.com/
第19回日本婦人科がん分子標的研究会学術集会
2020年11月14日(土)・15日(日)Web開催で、第19回日本婦人科がん分子標的研究会学術集会を開催いたします。当初は6月13-14日を会期としておりましたが、COVID19感染拡大の影響で11月14日と15日に延期とし、Webのみの開催とさせていただきました。一般演題は18題で、事前にオンデマンドによる発表を視聴していただいた上で、ライブ(ZOOM)で討論を実施いたします。特別講演と企業共催セミナーはライブ配信として、特別講演Ⅰでは、熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学講座教授 片渕 秀隆 先生に「がんゲノム時代の子宮内膜癌:明らかになる分子病理と進化する治療」について、熊本大学退任前の集大成としてご講演をしていただきます。特別講演Ⅱでは、神戸大学大学院医学研究科分子細胞生物学教授 鈴木 聡 先生に「がん抑制遺伝子の機能解析」についてご発表いただきます。企業共催セミナーでは、京都大学医学部附属病院産科婦人科講師 濵西 潤三 先生によります「MSI-H固形がんから学ぶ、婦人科腫瘍における免疫療法の現状と展望」、川崎医科大学産婦人科学2教授 本郷 淳司 先生によります「進行婦人科癌におけるVEGF阻害の意義」の2つとなっています。
本会におきましては、はじめての試みとなりますWEB開催であるために、ご発表いただく演者の先生方や座長の先生方にはお手を煩わす形になり、誠に恐縮をしております。世界そして日本全体が疫病により沈滞した状況が続く中ではございますが、疫病に屈しないよう、皆様のお力を借りながら本学術集会を実りのあるものにして参りたいと考えております。パソコン画面越しにはなりますが、多くの方に熊本発信のWEB学術集会に参加していただき、熱いご討論をしていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
URL: http://gan-bunshihyouteki19.com/
※ホームページ上の「参加登録」で手続が可能です。
研究会の参加登録期間は、11月12日(木曜)まで延期いたします。
2020年10月吉日
第19回日本婦人科がん分子標的研究会学術集会 会長
熊本大学大学院生命科学研究部保健学系女性健康科学講座 教授
田代浩徳
Australia New Zealand Gynaecological Oncology Group Webセミナーのご案内
会員各位
The Australia New Zealand Gynaecological Oncology Group (ANZGOG)よりWebセミナーのお知らせをいただきました。
詳細は下記のURLからご確認ください。
よろしくお願いいたします。
http://ovarian-cancer-webinar.w.yrd.currinda.com/#
Date&Time:5pm - 6.30pm (UTC/GMT +11 hours) on Wednesday 11 November and Tuesday 1 December 2020
The education webinars are free of charge.
産婦人科における遺伝性乳癌卵巣癌症候群に対する保険診療についての考え方
日本婦人科腫瘍学会 青木大輔
がんゲノム医療、HBOC診療の適正化に関するワーキンググループ
委員長 青木大輔
遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome:HBOC)は,BRCA1あるいはBRCA2遺伝子(以下BRCA1/2遺伝子)の生殖細胞系列の病的バリアント*1(変異)に起因する遺伝性腫瘍症候群の一つである.BRCA1/2遺伝子バリアント保持者では、乳癌や卵巣癌・卵管癌・原発性腹膜癌(以下,卵巣癌と総称する)の生涯発症リスクが高率であり,BRCA1遺伝子バリアントを保持する女性の卵巣癌発症リスクは39~46%,BRCA2遺伝子バリアント保持者女性では12~27% であると報告されている.2020年4月より乳癌または卵巣癌の既発症のHBOCに対する診療の一部が保険収載されることとなった.産婦人科の診療においてもHBOCに関する十分な知識を持ち,適切な診療を行う必要があると考える.
HBOCの診療においては,リスク評価,遺伝カウンセリング,遺伝学的検査,検査結果の解釈,BRCA1/2遺伝子バリアント保持者患者への対応(サーベイランス,リスク低減手術等)といった各段階で産婦人科医の関わりが考えられる.また卵巣癌患者に対して,コンパニオン診断としてBRCA1/2遺伝学的検査を行う場面があるが,それについては日本婦人科腫瘍学会からの「卵巣癌患者に対してコンパニオン診断としてBRCA1あるいはBRCA2の遺伝学的検査を実施する際の考え方」*2を参照されたい.
2020年4月現在,HBOC診療において保険収載されている項目は,①BRCA1/2遺伝学的検査(BRCA1/2遺伝子検査)の必要性を説明するための指導管理料,②血液を検体としたBRCA1/2遺伝学的検査(BRCA1/2遺伝子検査),③乳癌患者のうちHBOCと診断されたものに対するリスク低減卵管卵巣摘出術(risk reducing salpingo-oophorectomy:RRSO),および対側の乳房切除術(contralateral risk-reducing mastectomy:CRRM),④卵巣癌患者のうちHBOCと診断されたものに対する両側リスク低減乳房切除術(bilateral risk-reducing mastectomy:BRRM),⑤HBOCと診断された患者に対するサーベイランス,⑥BRCA1/2遺伝学的検査の結果についての遺伝カウンセリングである.
HBOCに対する保険診療を実施するに際しては,以下の算定要件,ならびに施設基準を満たす必要がある.
〇がん患者指導管理料「二」(300点)
[算定要件]
医師が遺伝子検査の必要性等について文書により説明をおこなった場合.(1患者1回のみ)
[施設基準]
①BRCA1/2遺伝子検査の血液を検体とするものの施設基準に係る届出を行っている.
②患者のプライバシーに十分配慮した構造の個室を備えている.
[留意事項](一部抜粋)
説明した結果,BRCA1/2遺伝子検査を実施し,遺伝カウンセリング加算を算定する場合は,がん患者指導管理料は算定できない.
遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている他、保険医療機関の臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師と連携して指導を行った場合にも算定できる.ただし,その場合であっても遺伝カウンセリング加算を算定する場合は,がん患者指導管理料は算定できない.
〇BRCA1/2遺伝子検査 血液を検体とするもの(20,200点)
[算定要件]
HBOCの診断を目的として当該検査を実施するに当たっては,厚生労働省がん対策推進総合研究事業研究班作成の「遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診療の手引き2017年版」を参照し,医療上の必要性について診療報酬明細書に記載する.
[施設基準]
① 卵巣癌患者に対して治療法の選択を目的として実施する場合には,化学療法の経験を5年以上有する常勤医師又は産婦人科及び婦人科腫瘍の専門的な研修の経験を合わせて6年以上有する常勤医師が1名以上配置されている(婦人科腫瘍専門医はこれに相当する).
② 乳癌患者に対して治療法の選択を目的として実施する場合には,化学療法の経験を5年以上有する常勤医師又は乳腺外科の専門的な研修の経験を5年以上有する常勤医師が1名以上配置されている.
③ HBOCの診断を目的として実施する場合には,上記①又は②のいずれかを満たす.
④ 遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている.もしくは遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関との連携体制をとっている.
〇HBOCに係る手術(子宮附属器腫瘍摘出術 開腹17,080点、腹腔鏡25,940点)
[算定要件]
手術の実施前に,臨床遺伝に係る専門的な医師,並びに乳腺外科又は産婦人科の医師によるカンファレンスを実施し治療方針の検討を行うこと.カンファレンスにおける検討内容を踏まえ,手術の目的や利益・不利益について当該患者に説明を行うこと.
なお,HBOCと診断された患者に保険診療としてRRSOを実施する場合には,保険上の術式が子宮附属器腫瘍摘出術となる.
[施設基準]
① RRSOを行う場合は,産婦人科及び婦人科腫瘍の専門的な研修の経験を合わせて6年以上有する常勤医師が1名以上配置されている(婦人科腫瘍専門医はこれに相当する).なお,当該医師は医療関係団体が主催するHBOCに関する研修を修了していること*3.(RRMの場合は乳腺外科の専門的な研修の経験を5年以上有する常勤医師)
② 臨床遺伝学の診療に係る経験を3年以上有する常勤の医師が1名以上配置されている.なお,当該医師は医療関係団体が主催するHBOCに関する研修を修了していること*3.
③ RRMを行う施設は乳房MRI加算の施設基準に係る届出を行っている.
④ 病理部門があり病理医が配置されている.
⑤ 麻酔科標榜医が配置されている.
⑥ 遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている.
〇遺伝カウンセリング加算(検体検査判断料の注加算)(1,000点)
[算定要件]
BRCA1/2遺伝子検査を実施し,その結果について患者又はその家族等に対し遺伝カウンセリングを行った場合には,遺伝カウンセリング加算として,患者1人につき月1回に限り加算する.(別に定める施設基準に適合し,届け出ておく必要がある)
[留意事項](一部抜粋)
[算定要件]
臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師が,当該検査を実施する際,以下のいずれも満たした場合に算定できる.
ア 検査の実施前に,患者又はその家族等に対し,検査の目的並びに実施によって生じうる利益及び不利益についての説明等を含めたカウンセリングをおこなっている.
イ 患者又はその家族等に対し、当該検査の結果に基づいて療養上の指導を行っている.
なお,遺伝カウンセリングの実施に当たっては,厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」(平成29 年4月)及び関係学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(平成23 年2月)を遵守すること.
また,遺伝カウンセリング加算を算定する患者については,がん患者指導管理料の「ニ」の所定点数は算定できない.
BRCA1/2遺伝子バリアント保持者の女性に対しての管理としては,サーベイランス(監視),リスク低減手術,化学予防が考えられる.乳癌の発症については,乳房に対するサーベイランスやリスク低減乳房切除術の選択肢などについて,関連部門と協力した対応を行う必要がある.卵巣癌の発症については,RRSOを実施することで卵巣癌の発症リスクを減少させ,全死亡リスクを減少することが示されており,国内外のガイドラインで推奨されている.一方,RRSOを選択しなかったBRCA1/2遺伝子バリアント保持者の女性に対しては,確実な卵巣癌スクリーニング法は存在しない.実臨床では,経腟超音波検査とCA125測定を行うことが考慮されるが,スクリーニングとしての意義は不明である.経口避妊薬による化学予防については,卵巣癌の発症リスクを低減するとされている.しかし実際には,医薬品添付文書上は乳癌患者に対する経口避妊薬の投与は禁忌であり,乳癌の発症リスクを上昇させるという報告もあり,慎重な判断が必要である.
現時点ではRRSOが卵巣癌の発症および癌死低減に対する最も確実な手法である.RRSOを考慮する際には,以下について留意が必要である.
<RRSO実施前の留意点>
1. 婦人科腫瘍を専門とした医師,および臨床遺伝を専門とした医師が配置されており,且つ施設内でカンファレンスを行うなど,連携できる体制を取っていること.
2. 施設倫理委員会での審査などの必要性については各施設の判断による.
3. RRSO時にオカルト癌またはSTIC(serous tubal intraepithelial carcinoma)が発見されることがある.そのため卵巣と卵管を連続切片で評価する必要があり,病理医との協力体制を構築しておくこと.実際にはSEE-Fim(sectioning and extensively examining the fimbriated end)プロトコールに従い、卵管采は長軸方向に切開を加え,残る卵巣および卵管は2~3mm 間隔で切片を作成し評価を行うこと.
4. 卵管のみを摘出するリスク低減卵管切除術については,卵巣癌発症に対するリスク低減効果は証明されておらず,現時点では推奨されない.
<RRSO実施の際の留意点>
1. RRSOは低侵襲手術(腹腔鏡)で行うことを推奨する.手術は以下の手順で行う.上腹部から腸管表面,大網,虫垂を含め骨盤内臓器を観察し,腹膜に所見があれば生検を行う.腹腔洗浄液細胞診を行う.両側附属器摘出を行う際には,卵巣近位部の卵巣提索を2 cm,子宮角までのすべての卵管,卵巣および卵管を覆うすべての腹膜,特に卵管および/または卵巣と骨盤側壁との間にできた癒着の下の腹膜を切除する. 手術操作による細胞の脱落を回避するため,卵管と卵巣への操作は最小限にする.回収袋を用いて腹腔内から回収する.
2. RRSO施行時の子宮合併切除は必要ないとされるものの,乳癌に対するホルモン療法や卵巣欠落症状などに対するホルモン補充療法時にメリットがある.またBRCA1遺伝子バリアント保持者は子宮体部漿液性癌に罹患するリスクが高いことが示唆されている.そのため術前に子宮の合併切除を行うことのメリットとデメリットについて十分な説明を行う.ただし,RRSO施行時の子宮摘出については,保険収載されていないことに注意が必要である(子宮摘出を実施する保険適応がある場合をのぞく).
3. 当該患者に対して,出産の希望の有無,発癌リスク,乳癌および卵巣癌を予防できる程度,施行後の卵巣欠落症状やそれに対する対応策等,RRSO の利益,不利益について十分な説明,および必要に応じて遺伝カウンセリングを提供すること.
4. RRSOの実施時期は個別に対応する必要があるが,一般に出産終了後35~40 歳に達した時点,または家系で最も早い卵巣癌診断年齢での施行が望ましいとされている.BRCA2遺伝子バリアント保持者の女性では,卵巣癌の発症年齢がBRCA1遺伝子バリアント保持者より平均で8~10年高いため,RRSOを40~45歳まで延期することも考慮される.
<RRSO実施後の留意点>
1. オカルト癌やSTICが同定された場合の対応については,エビデンスに乏しいのが現状であり,今後ガイドラインで検討される予定である.
2. RRSO施行後も,1~4.3% の確率で腹膜癌の発生が認められることに留意する.
3. RRSOによって外科的閉経状態となるため,卵巣欠落症状としての更年期症状や脂質異常症,心血管疾患,骨粗鬆症などが危惧される.そのためRRSOを実施後は,日本女性医学学会の認定する女性ヘルスケア専門医や女性医学に精通した産婦人科専門医による経過観察が必要である.乳癌既往のない女性に対してRRSO 施行後にホルモン補充療法を行うことは有用であり,短期的には乳癌リスクへの影響も少ないと報告されている.
4. RRSOの実施時期は個別に対応する必要があるが,一般に出産終了後35~40 歳に達した時点,または家系で最も早い卵巣癌診断年齢での施行が望ましいとされている.BRCA2遺伝子バリアント保持者の女性では,卵巣癌の発症年齢がBRCA1遺伝子バリアント保持者より平均で8~10年高いため,RRSOを40~45歳まで延期することも考慮される.
注
*1 最近では、「変異(mutation)」の代わりに「バリアント(variant)」が使われるようになってきている。本稿では「バリアント」に変更し統一した記載とした(2020年10月)。
*2 https://jsgo.or.jp/opinion/02.html
*3 ここでいう「HBOCに関する研修」に関して、2020年3月31日に厚生労働省保険局医療課より発出された疑義解釈資料(医科38)において、現時点では(2020年10月現在)、日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)が行う教育セミナーを指すとされている。
JOHBOCの教育セミナーおよびその他の認定講習会(過去の日本HBOCコンソーシアム教育セミナー等も含む)ついては下記ホームページ内に示されている。更新期限などについても参照されたい。
日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構 http://johboc.jp/
なお、日本婦人科腫瘍学会では、教育委員会にてRRSOの実践に関連するe-ラーニングを作成し、近日中に公開予定である(2020年10月現在)。その他下記の関連学会から得られる情報についても参照されたい。
日本婦人科腫瘍学会 https://www.jsgo.or.jp/
日本産科婦人科学会 http://www.jsog.or.jp/
日本産科婦人科遺伝診療学会 http://jsgog3.umin.jp/
日本人類遺伝学会 http://jshg.jp/
日本遺伝カウンセリング学会 http://www.jsgc.jp/
日本遺伝性腫瘍学会 http://jsht.umin.jp/
日本臨床腫瘍学会 http://www.jsmo.or.jp/
日本婦人科腫瘍学会
がんゲノム医療、HBOC診療の適正化に関するワーキンググループ
委員長 青木大輔
委員 榎本隆之 岡本愛光 織田克利 竹原和宏 津田 均 永瀬 智
平沢 晃 万代昌紀 三上幹男 八重樫伸生 渡部 洋
2020年4月6日
2020年10月21日改訂
HPVワクチンによる子宮頸癌の発生リスク減少を示す新たなエビデンスについて
会員各位
2020年10月1日出版のNew England Journal of Medicine Vol.383にHPVワクチンの有効性に関するスウェーデンでの研究結果が報告されました。それによると、 「17歳前にHPVワクチンを接種した女性では、子宮頸癌の発生率(補正後)は、非接種女性の発生率に対して、HR=0.12(0.00-0.34)であり、17-30歳でHPVワクチンを接種した女性においても、同発生率は、非接種女性の発生率に対して、HR=0.47(0.27-0.75)であった。」(Lei J, et al., HPV vaccination and the risk of invasive cervical cancer, N Engl J Med, 383:1340-8, 2020 より引用)(下表をご参照ください。)
本研究結果は、HPVワクチンによって子宮頸癌の発生リスクが劇的に減少することを科学的に証明したエビデンスと言えます。会員の皆様には、本論文をご高覧いただき、HPVワクチンの啓発にお役立ていただきたくお願い申し上げます。
2020年10月7日
委員長 青木大輔
理事長 片渕秀隆
HBOCに係る手術(子宮附属器腫瘍摘出術)を算定するための施設基準 ―JOHBOC e-learning教育セミナーとJSGO作成「HBOCに係る手術(子宮附属器腫瘍摘出術)に関するe-ラーニング」についてー
会員各位
乳癌や卵巣癌を発症した患者に対して、BRCA1/2遺伝学的検査、遺伝カウンセリング、リスク低減卵管卵巣摘出術・リスク低減乳房切除術等が新たに保険収載となったことは皆様ご存知と思います。リスク低減手術を行うための施設基準の中に、「RRSOを行う場合は,産婦人科及び婦人科腫瘍の専門的な研修の経験を合わせて6年以上有する常勤医師が1名以上配置されている(婦人科腫瘍専門医はこれに相当する).なお,当該医師は医療関係団体が主催するHBOCに関する研修を修了していること」という項目がありますが、ここでいう“HBOCに関する研修”に関しましては、令和2年3月31日付けの厚生労働省保険局医療課からの疑義解釈資料(医科38)におきまして、「現時点では、日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)が行う教育セミナーを指す。」とされております。
「産婦人科における遺伝性乳癌卵巣癌症候群に対する保険診療についての考え方https://jsgo.or.jp/opinion/index.html」の作成時点では、上記の疑義解釈は発出されておりませんでした(今後、この注釈*3については修正いたします)。
なお、日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)の認定講習会につきましては、下記のホームページ(http://johboc.jp/kyoiku/seminar_info/)にあるように、Covid19Pandemicの影響で現在e-learningのみになっており、すでに受講の受付を終了しております。
本会で作成した、「HBOCに係る手術(子宮附属器腫瘍摘出術)に関するe-ラーニング」(下記)についても近日中に配信予定であり、JOHBOC e-learningセミナーの中でも、RRSOを行うに際して、本会のe-learningを視聴するように推奨されています。本会では、下記のe-learningをご覧いただいた会員には受講証を発行し、その後に本会会員だけでなく、多くの産婦人科医に視聴して頂き、RRSOを必要とする患者様のために役立てて頂こうと考えております。
JSGO作成【HBOCに係る手術(子宮附属器腫瘍摘出術)に関するe-ラーニング」動画】
第1章:HBOC患者に対するRRSO実施前の留意点、
第2章:RRSOに関して
第3章:病理学的扱いに関して
第4章:RRSO実施後のサーベイランスなど(RRSO実施後の留意点を含む)
なお、現状では、先にも述べましたように「当該医師は医療関係団体が主催するHBOCに関する研修を修了していること」=「現時点では、日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)が行う教育セミナーを指す。」ということにご注意ください。
日本婦人科腫瘍学会
理事長 片渕秀隆
がんゲノム医療、HBOC診療の適正化に関するWG委員長 青木大輔
教育委員会委員長 三上幹男
卵巣がん治療薬 ニラパリブ(ゼジューラ®)の承認について
令和2年9月25日に、経口PARP阻害薬「ゼジューラカプセル100mg」(一般名=ニラパリブトシル酸塩水和物)が承認されました。
適応は、以下のとおりです。
令和2年9月25日に、経口PARP阻害薬「ゼジューラカプセル100mg」(一般名=ニラパリブトシル酸塩水和物)が承認されました。
適応は、以下のとおりです。
- 卵巣がんにおける初回化学療法後の維持療法
- 白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法
- 白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣がん
令和2年10月1日
公益社団法人日本婦人科腫瘍学会
理事長 片渕 秀隆
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)会員向け・市民向け啓発ビデオ公開のご案内)
会員各位
一般社団法人日本乳癌学会より、HBOC診療への理解を深めていただく目的で、 会員向けと市民向けの啓発ビデオを作成し無償にて公開されているとのご連絡をいただきました。
下記、URLよりご覧いただけます。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)会員向け・市民向け啓発ビデオ(どちらも視聴できます)
https://mediat.study.jp/register_jbcs_seminar.aspx
(ビデオのご視聴の際には、 上記ページにてユーザー登録と属性登録が必要となります。)
「市民の皆さまへ」を改訂しました
市民の皆さまへ
女性のがんに関するコンテンツ「市民の皆さまへ」が改訂されました。
市民の皆さまや患者さんにとりまして、とてもわかりやすく、女性のがんに関する最新の知識や医療について詳しく盛り込まれております。
ぜひ、ご一読いただき、参考にして頂きたいと思います。
卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版発刊のお知らせ
日本婦人科腫瘍学会
会員各位
平素は本会の運営にご理解・ご協力をいただき誠にありがとうございます。
さて、本会が編集をしました「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版」が発刊されましたのでお知らせいたします。
2020年版では、「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン」と名称を変え、また、エビデンス総体の考え方を導入し、推奨グレードやエビデンスの表現方法も変更しております。
各推奨については、最終会議での投票結果(合意率)を記載しており、どのような議論が行われたかがわかるようになったことも大きな特徴です。
新たな取り組みを行いながら、最新の知見を基に作成されておりますので、是非お読みいただけますと幸甚です。
金原出版のHPよりご購入いただけます。
https://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/detail.html?isbn=9784307301435
引き続きコロナ禍は我々の生活の脅威になっております。
会員の皆様におかれましてはくれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
日本婦人科腫瘍学会
ガイドライン委員会
委員長 永瀬 智
「子宮頸癌に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)に関する指針」改定の報告(一部修正)
「子宮頸癌に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)に関する指針」改定の報告を一部修正いたしました。
下記よりご確認下さい。
http://www.jsog.or.jp/modules/news_m/index.php?content_id=842
IGCS2020 Global meeting Rome, JSGO session開催のお知らせ
会員各位
IGCS2020 Global meeting Rome が、2020/9/10~9/13でWeb開催となります。
https://igcs.org/education-resources/global-meeting/
IGCS2020では、本会が主催する“JSGO session”が以下の日時でリアルタイムWebで開催されます。奮ってご参加頂きますようお願い申し上げます。
JSGO session
2020年9月13日(日)日本時間16:30-18:00
Session coordinator:牛嶋 公生 先生・岡本 愛光 先生
「What we learned from OCCC- Footprint of JSGO studies-」
1. Why in Japan? The high incidence of OCCC A large cohort study
鳥取大学 谷口文紀先生
2. From pathological view Characteristics of OCCC different from HGSC
大阪大学 前田大地先生
3. What happened to endometriosis Way to OCCC
京都大学 山口健先生
4. Strategy against OCCC surgery and chemo
名古屋大学 梶山広明先生
5. Future perspectives
近畿大学 松村謙臣先生
6th ASGO International Workshop(台北)の開催日程と開催形式の変更について
日本婦人科腫瘍学会
会員各位
TAGO主催の6th ASGO International Workshop(2020年5月台北にて開催予定)は、
COVID-19感染拡大防止のため開催延期されておりましたが、
2020年12月19-20日にWeb-baseで開催されることとなりました。
詳しい情報は、今後TAGOから発信されますので、以下のURLをご確認頂きますようお願い申し上げます。
ASGO2020 6th ASGO International Workshop
http://www.asgoworkshop2020.com/
「子宮頸癌に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)に関する指針」改定について
「子宮頸癌に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮頸がんに限る)に関する指針」を改定いたしました。当該療養の登録施設一覧とともに、日本産科婦人科学会のHPに掲載しておりますので、ご確認ください。
ASGO2020 6th ASGO International Workshop
http://www.jsog.or.jp/modules/news_m/index.php?content_id=842
「子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術登録施設」
http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/mis_shisetsuichiran.pdf(240KB)
9価HPVワクチン「シルガード9」の正式承認について
令和2年7月21日に、9価HPVワクチン「シルガード9」が正式に承認されました。子宮頸がん予防のための新たなツールが国内で承認されたことは、本会にとりまして大きな意義をもっております。この決定を受けて、HPVワクチンがさらに広く接種されることを希望いたします。
令和2年7月27日
公益社団法人日本婦人科腫瘍学会
理事長 片渕 秀隆
令和3年度 野澤記念研究助成の募集
令和3年度 野澤記念研究助成金申込みを開始します。
婦人科疾患に対するロボット支援下手術のNCD登録開始について
2020年7月20日
婦人科疾患に対するロボット支援下手術のNCD登録開始について
公益社団法人日本婦人科腫瘍学会
理事長 青木 大輔
総務委員会
委員長 万代 昌紀
婦人科領域におけるロボット支援下手術は、2018年4月に「腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに対して内視鏡手術用支援機器を用いる場合)」、および「腹腔鏡下腟式子宮全摘術(内視鏡手術用支援機器を用いる場合)」が、2020年4月に「腹腔鏡下仙骨膣固定術(内視鏡手術用支援機器を用いた場合)」が保険適用となりました。これらの3術式が保険適用される要件として周術期の安全性を中央監視できる登録システムの整備が挙げられており、先般より一般社団法人日本内視鏡外科学会の主導の下、一般社団法人National Clinical Database(NCD)の術前症例登録システム上での運用開始を目指してきました。
このたび、登録システムが構築され、2020年7月1日以降に施行されるロボット支援下手術について、日本内視鏡外科学会 産婦人科領域/ロボット支援下手術 レジストリー登録データベースへの登録が開始されましたので、保険適用でロボット支援下手術を行う施設では症例ごとに必ず、術前および術後に登録を行ってください (6月30日以前の登録は不要です)。日本内視鏡外科学会 産婦人科領域/ロボット支援下手術 レジストリー登録データベースへの症例登録はロボット支援下手術を保険適用するにあたっての必須条件です。登録せずに手術を行った場合は、保険の算定要件を満たさない可能性があります。下記ウエブサイトから登録ください。
登録いただく症例は、2020年7月1日以降の全症例です。基本的には登録は手術日までに術前症例登録を終えておくことが必要となりますが、2020年12月31日までは猶予措置として、手術日を過ぎた症例も遡って登録することが可能です。2021年1月1日以降は遡っての登録を行うことはできなくなります。術前症例登録が登録の基本となりますので、各施設は可及的速やかに術前症例登録を開始してください。
登録に関するマニュアルはNCD登録画面のマニュアルページからダウンロードすることができますが、下記アドレスからも直接ダウンロードすることができますのでご利用ください。
http://www.ncd.or.jp/manual/pdf/naishikyo_sanhujinka_manual_.pdf(2MB)
症例のレジストリー登録を始めるにはNCDへの施設登録がまず必要となります。下記ウエブサイトから手順に従って、診療科・ユーザー(診療科長、NCD主任医師、データマネージャー)の登録を済ませてください。
また、本レジストリー登録における術前症例登録に関して、日本内視鏡外科学会に対し、年間5万円の登録料の支払いが必要です。術前症例登録のシステム構築維持費およびロボット支援手術の安全性分析のためのAudit等への対応費用となります(こちらの支払いは、日本内視鏡外科学会 2021年度(2020年10月1日~2021年9月30日)の症例登録分からとなり、2021年4月以降に日本内視鏡外科学会より請求予定です)。 登録料の請求、安全性担保のためのAuditを行ううえで、ロボット支援手術のレジストリー登録施設には、NCDへの施設登録とは別に、日本内視鏡外科学会への施設登録も必要です。詳細は、以下の日本内視鏡外科学会ホームページ(ロボット支援手術ページ)をご参照ください。
http://www.jses.or.jp/member/robot_assisted_surgery.html
こちらは、術前症例登録後に登録いただく事も可能ですが、お忘れのないよう、ご登録をお願いします。
NCD、および日本内視鏡外科学会の登録に関して、本学会ではお答えできません。マニュアルを参照して不明な点は、各事務局に直接、お問い合わせください。
【レジストリー登録方法などについて】
NCD事務局:com@ncd-core.jp
【JSES施設登録に関して】
NCD事務局:info-jses@convention.co.jp
なお、日本産科婦人科学会の婦人科腫瘍登録施設で悪性腫瘍に対してロボット支援下手術を行った症例については、NCD登録とは別に悪性腫瘍オンライン登録を忘れずに行ってください。一般社団法人日本産科婦人科内視鏡学会など他学会の症例登録についても別途、登録が必要となりますのでご注意ください。
婦人科領域におけるロボット支援下手術を行うにあたっては、2020年3月7日本会websiteに掲載の「『婦人科疾患に対するロボット支援下手術に関する指針』の改訂について」http://www.jsog.or.jp/modules/news_m/index.php?content_id=750をご参照ください。
【関連ページまとめ】
1.NCDへの施設登録:http://www.ncd.or.jp/start/
2.NCD 術前・術後登録:
https://registry3.ncd.or.jp/karte/htmldoc/login.html
3.NCD 産婦人科領域 ロボット支援下内視鏡手術レジストリー登録マニュアル
http://www.ncd.or.jp/manual/pdf/naishikyo_sanhujinka_manual_.pdf(2MB)
4.日本内視鏡外科学会への施設登録:
http://www.jses.or.jp/member/robot_assisted_surgery.html
5. 日本産科婦人科学会「『婦人科疾患に対するロボット支援下手術に関する指針』の改訂について」:
http://www.jsog.or.jp/modules/news_m/index.php?content_id=750
日本がん治療認定機構よりの連絡
下記のご連絡をいただきましたのでお知らせいたします。
日本がん治療認定医機構
関連学会各位
平素よりお世話になっております。
現在、新型コロナウイルス対策として、教育セミナーのWeb配信、試験会場の分散等、開催方法の変更を検討しております。
日程の変更は予定しておりませんが、8月初旬には詳細を確定し、本ホームページ(https://www.jbct.jp/)にてお知らせします。
(当初7月1日開始予定となっていた受講・受験の申込は、8月中旬開始予定に変更させていただきます。)
現時点での日程:2020年11月21日(土)、22日(日)
〃 会場:インテックス大阪6号館Cゾーン
貴学会会員のみなさま方にご周知くださいますようお願い申し上げます。
日本がん治療認定医機構 事務局 担当:皆川
〒160-0016東京都新宿区信濃町35
信濃町煉瓦館5F
一般財団法人 国際医学情報センター内
TEL:03-5361-7105
FAX:03-5361-7091
E-mail:c-info@imic.or.jp
日本癌治療学会からのお知らせ
『新型コロナウイルス感染症とがん診療について(患者さん向け)Q&A』を掲載しました。
会員各位
癌治療学会が、『新型コロナウイルス感染症とがん診療について(患者さん向け)Q&A』を掲載されました。
このQ&Aは、3学会(日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本癌学会)合同で新型コロナウイルス対策ワーキンググループを立ち上げ、作成されたものです。
以下のURLより、ご確認ください。
日本癌治療学会から厚生労働大臣への要望書
日本癌治療学会より、下記の要望書を厚生労働大臣に提出したとのご連絡がございました。
会員の先生方は内容のご確認をお願いします。
「新型コロナウイルス(COVID-19)」の感染拡大に伴う事務局対応について
新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた取り組みの一環として、勤務時間を9:30~16:00とし、併せて、在宅勤務(テレワーク)も実施いたします。
お問合せ等につきましては基本的には、メール(gyne-oncol@jsgo.or.jp)でご連絡いただきますようお願いいたします。
なお、期間は当面5月6日(水)までを想定しておりますが、状況によっては延長もあり得ますのでご理解をお願いいたします。
会員の皆様にはご不便をお掛けいたしますが、何卒ご了承いただけますようお願いいたします。
公益社団法人日本婦人科腫瘍学会 事務局
産婦人科における遺伝性乳癌卵巣癌症候群に対する保険診療についての考え方
日本婦人科腫瘍学会 青木大輔
がんゲノム医療、HBOC診療の適正化に関するワーキンググループ
委員長 青木大輔
遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome:HBOC)は,BRCA1あるいはBRCA2遺伝子(以下BRCA1/2遺伝子)の生殖細胞系列の病的変異(病的バリアント*1)に起因する遺伝性腫瘍症候群の一つである.BRCA1/2遺伝子変異保持者では、乳癌や卵巣癌・卵管癌・原発性腹膜癌(以下,卵巣癌と総称する)の生涯発症リスクが高率であり,BRCA1遺伝子変異を保持する女性の卵巣癌発症リスクは39~46%,BRCA2遺伝子変異保持者女性では12~27% であると報告されている.2020年4月より乳癌または卵巣癌の既発症のHBOCに対する診療の一部が保険収載されることとなった.産婦人科の診療においてもHBOCに関する十分な知識を持ち,適切な診療を行う必要があると考える.
HBOCの診療においては,リスク評価,遺伝カウンセリング,遺伝学的検査,検査結果の解釈,BRCA1/2遺伝子変異保持者患者への対応(サーベイランス,リスク低減手術等)といった各段階で産婦人科医の関わりが考えられる.また卵巣癌患者に対して,コンパニオン診断としてBRCA1/2遺伝学的検査を行う場面があるが,それについては日本婦人科腫瘍学会からの「卵巣癌患者に対してコンパニオン診断としてBRCA1あるいはBRCA2の遺伝学的検査を実施する際の考え方」*2を参照されたい.
2020年4月現在,HBOC診療において保険収載されている項目は,①BRCA1/2遺伝学的検査(BRCA1/2遺伝子検査)の必要性を説明するための指導管理料,②血液を検体としたBRCA1/2遺伝学的検査(BRCA1/2遺伝子検査),③乳癌患者のうちHBOCと診断されたものに対するリスク低減卵管卵巣摘出術(risk reducing salpingo-oophorectomy:RRSO),および対側の乳房切除術(contralateral risk-reducing mastectomy:CRRM),④卵巣癌患者のうちHBOCと診断されたものに対する両側リスク低減乳房切除術(bilateral risk-reducing mastectomy:BRRM),⑤HBOCと診断された患者に対するサーベイランス,⑥BRCA1/2遺伝学的検査の結果についての遺伝カウンセリングである.
HBOCに対する保険診療を実施するに際しては,以下の算定要件,ならびに施設基準を満たす必要がある.
〇がん患者指導管理料「二」(300点)
[算定要件]
医師が遺伝子検査の必要性等について文書により説明をおこなった場合.(1患者1回のみ)
[施設基準]
① BRCA1/2遺伝子検査の血液を検体とするものの施設基準に係る届出を行っている.
② 患者のプライバシーに十分配慮した構造の個室を備えている.
[留意事項](一部抜粋)
説明した結果,BRCA1/2遺伝子検査を実施し,遺伝カウンセリング加算を算定する場合は,がん患者指導管理料は算定できない.
遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている他、保険医療機関の臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師と連携して指導を行った場合にも算定できる.ただし,その場合であっても遺伝カウンセリング加算を算定する場合は,がん患者指導管理料は算定できない.
〇BRCA1/2遺伝子検査 血液を検体とするもの(20,200点)
[算定要件]
HBOCの診断を目的として当該検査を実施するに当たっては,厚生労働省がん対策推進総合研究事業研究班作成の「遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診療の手引き2017年版」を参照し,医療上の必要性について診療報酬明細書に記載する.
[施設基準]
① 卵巣癌患者に対して治療法の選択を目的として実施する場合には,化学療法の経験を5年以上有する常勤医師又は産婦人科及び婦人科腫瘍の専門的な研修の経験を合わせて6年以上有する常勤医師が1名以上配置されている(婦人科腫瘍専門医はこれに相当する).
② 乳癌患者に対して治療法の選択を目的として実施する場合には,化学療法の経験を5年以上有する常勤医師又は乳腺外科の専門的な研修の経験を5年以上有する常勤医師が1名以上配置されている.
③ HBOCの診断を目的として実施する場合には,上記①又は②のいずれかを満たす.
④ 遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている.もしくは遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関との連携体制をとっている.
〇HBOCに係る手術(子宮附属器腫瘍摘出術 開腹17,080点、腹腔鏡25,940点)
[算定要件]
手術の実施前に,臨床遺伝に係る専門的な医師,並びに乳腺外科又は産婦人科の医師によるカンファレンスを実施し治療方針の検討を行うこと.カンファレンスにおける検討内容を踏まえ,手術の目的や利益・不利益について当該患者に説明を行うこと.
なお,HBOCと診断された患者に保険診療としてRRSOを実施する場合には,保険上の術式が子宮附属器腫瘍摘出術となる.
[施設基準]
① RRSOを行う場合は,産婦人科及び婦人科腫瘍の専門的な研修の経験を合わせて6年以上有する常勤医師が1名以上配置されている(婦人科腫瘍専門医はこれに相当する).なお,当該医師は医療関係団体が主催するHBOCに関する研修を修了していること*3.(RRMの場合は乳腺外科の専門的な研修の経験を5年以上有する常勤医師)
② 乳癌患者に対して治療法の選択を目的として実施する場合には,化学療法の経験を5年以上有する常勤医師又は乳腺外科の専門的な研修の経験を5年以上有する常勤医師が1名以上配置されている.
② 臨床遺伝学の診療に係る経験を3年以上有する常勤の医師が1名以上配置されている.なお,当該医師は医療関係団体が主催するHBOCに関する研修を修了していること*3.
③ RRMを行う施設は乳房MRI加算の施設基準に係る届出を行っている.
④ 病理部門があり病理医が配置されている.
⑤ 麻酔科標榜医が配置されている.
⑥ 遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている.
〇遺伝カウンセリング加算(検体検査判断料の注加算)(1,000点)
[算定要件]
BRCA1/2遺伝子検査を実施し,その結果について患者又はその家族等に対し遺伝カウンセリングを行った場合には,遺伝カウンセリング加算として,患者1人につき月1回に限り加算する.(別に定める施設基準に適合し,届け出ておく必要がある)
[留意事項](一部抜粋)
臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師が,当該検査を実施する際,以下のいずれも満たした場合に算定できる.
ア 検査の実施前に,患者又はその家族等に対し,検査の目的並びに実施によって生じうる利益及び不利益についての説明等を含めたカウンセリングをおこなっている.
イ 患者又はその家族等に対し、当該検査の結果に基づいて療養上の指導を行っている.
なお,遺伝カウンセリングの実施に当たっては,厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」(平成29 年4月)及び関係学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(平成23 年2月)を遵守すること.
また,遺伝カウンセリング加算を算定する患者については,がん患者指導管理料の「ニ」の所定点数は算定できない.
BRCA1/2遺伝子変異保持者の女性に対しての管理としては,サーベイランス(監視),リスク低減手術,化学予防が考えられる.乳癌の発症については,乳房に対するサーベイランスやリスク低減乳房切除術の選択肢などについて,関連部門と協力した対応を行う必要がある.卵巣癌の発症については,RRSOを実施することで卵巣癌の発症リスクを減少させ,全死亡リスクを減少することが示されており,国内外のガイドラインで推奨されている.一方,RRSOを選択しなかったBRCA1/2遺伝子変異保持者の女性に対しては,確実な卵巣癌スクリーニング法は存在しない.実臨床では,経腟超音波検査とCA125測定を行うことが考慮されるが,スクリーニングとしての意義は不明である.経口避妊薬による化学予防については,卵巣癌の発症リスクを低減するとされている.しかし実際には,医薬品添付文書上は乳癌患者に対する経口避妊薬の投与は禁忌であり,乳癌の発症リスクを上昇させるという報告もあり,慎重な判断が必要である.
現時点ではRRSOが卵巣癌の発症および癌死低減に対する最も確実な手法である.RRSOを考慮する際には,以下について留意が必要である.
<RRSO実施前の留意点>
1. 婦人科腫瘍を専門とした医師,および臨床遺伝を専門とした医師が配置されており,且つ施設内でカンファレンスを行うなど,連携できる体制を取っていること.
2. 施設倫理委員会での審査などの必要性については各施設の判断による.
3. 当該患者に対して,出産の希望の有無,発癌リスク,乳癌および卵巣癌を予防できる程度,施行後の卵巣欠落症状やそれに対する対応策等,RRSO の利益,不利益について十分な説明,および必要に応じて遺伝カウンセリングを提供すること.
4. RRSOの実施時期は個別に対応する必要があるが,一般に出産終了後35~40 歳に達した時点,または家系で最も早い卵巣癌診断年齢での施行が望ましいとされている.BRCA2遺伝子変異保持者の女性では,卵巣癌の発症年齢がBRCA1遺伝子変異保持者より平均で8~10年高いため,RRSOを40~45歳まで延期することも考慮される.
<RRSO実施の際の留意点>
1. RRSOは低侵襲手術(腹腔鏡)で行うことを推奨する.手術は以下の手順で行う.上腹部から腸管表面,大網,虫垂を含め骨盤内臓器を観察し,腹膜に所見があれば生検を行う.腹腔洗浄液細胞診を行う.両側附属器摘出を行う際には,卵巣近位部の卵巣提索を2 cm,子宮角までのすべての卵管,卵巣および卵管を覆うすべての腹膜,特に卵管および/または卵巣と骨盤側壁との間にできた癒着の下の腹膜を切除する. 手術操作による細胞の脱落を回避するため,卵管と卵巣への操作は最小限にする.回収袋を用いて腹腔内から回収する.
2. RRSO施行時の子宮合併切除は必要ないとされるものの,乳癌に対するホルモン療法や卵巣欠落症状などに対するホルモン補充療法時にメリットがある.またBRCA1遺伝子変異保持者は子宮体部漿液性癌に罹患するリスクが高いことが示唆されている.そのため術前に子宮の合併切除を行うことのメリットとデメリットについて十分な説明を行う.ただし,RRSO施行時の子宮摘出については,保険収載されていないことに注意が必要である(子宮摘出を実施する保険適応がある場合をのぞく).
3. RRSO時にオカルト癌またはSTIC(serous tubal intraepithelial carcinoma)が発見されることがある.そのため卵巣と卵管を連続切片で評価する必要があり,病理医との協力体制を構築しておくこと.実際にはSEE-Fim(sectioning and extensively examining the fimbriated end)プロトコールに従い、卵管采は長軸方向に切開を加え,残る卵巣および卵管は2~3 mm 間隔で切片を作成し評価を行うこと.
4. 卵管のみを摘出するリスク低減卵管切除術については,卵巣癌発症に対するリスク低減効果は証明されておらず,現時点では推奨されない.
<RRSO実施後の留意点>
1. オカルト癌やSTICが同定された場合の対応については,エビデンスに乏しいのが現状であり,今後ガイドラインで検討される予定である.
2. RRSO施行後も,1~4.3% の確率で腹膜癌の発生が認められることに留意する.
3. RRSOによって外科的閉経状態となるため,卵巣欠落症状としての更年期症状や脂質異常症,心血管疾患,骨粗鬆症などが危惧される.そのためRRSOを実施後は,日本女性医学学会の認定する女性ヘルスケア専門医や女性医学に精通した産婦人科専門医による経過観察が必要である.乳癌既往のない女性に対してRRSO施行後にホルモン補充療法を行うことは有用であり,短期的には乳癌リスクへの影響も少ないと報告されている.
注
*1 最近では、「変異(mutation)」の代わりに「バリアント(variant)」が使われるようになってきている。
*2 https://jsgo.or.jp/opinion/02.html
*3 以下の各種関連学会や関連団体の主催するHBOCに関するセミナーや講演会などが研修に相当すると考えられる。なお、日本婦人科腫瘍学会では、教育委員会にてe-ラーニングなどの研修ツールを検討中である。
日本婦人科腫瘍学会 https://www.jsgo.or.jp/
日本産科婦人科学会 http://www.jsog.or.jp/
日本産科婦人科遺伝診療学会 http://jsgog3.umin.jp/
日本遺伝性腫瘍学会 http://jsht.umin.jp/
日本乳癌学会 https://www.jbcs.gr.jp/
日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構 http://johboc.jp/
日本人類遺伝学会 http://jshg.jp/
日本遺伝カウンセリング学会 http://www.jsgc.jp/
日本婦人科腫瘍学会
がんゲノム医療、HBOC診療の適正化に関するワーキンググループ
委員長 青木大輔
委員 榎本隆之 岡本愛光 織田克利 竹原和宏 津田 均 永瀬 智
平沢 晃 万代昌紀 三上幹男 八重樫伸生 渡部 洋
卵巣癌患者に対してコンパニオン診断としてBRCA1あるいはBRCA2の遺伝学的検査を実施する際の考え方
日本婦人科腫瘍学会理事長 青木大輔
がんゲノム医療、HBOC診療の適正化に関するワーキンググループ
委員長 青木大輔
はじめに
遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer ; HBOC)は、生殖細胞系列のBRCA1あるいはBRCA2遺伝子(BRCA)の病的変異(バリアント*1)に起因する遺伝性腫瘍であり、BRCA遺伝学的検査(遺伝子診断)により確定診断が行われる。卵巣癌,卵管癌,原発性腹膜癌(以下、卵巣癌と総称する)患者におけるBRCA病的変異を有する頻度は10~15% と報告されている。
ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬は生殖細胞系列のBRCAに病的変異を有する卵巣癌に対する治療薬として米国、欧州では2014年に臨床導入された*2。
最初に欧米で承認されたオラパリブはBRCAに病的変異を有するプラチナ感受性再発がその適応であったが、すべてのプラチナ感受性再発卵巣癌を対象とした第II相ランダム化比較試験の長期治療継続および安全性のデータが発表されるとともに、その後に承認されたPARP阻害薬(ルカパリブ, ニラパリブ)は、第III相ランダム化比較試験にてBRCAの病的変異を有さない症例でも、病的変異を有する症例より効果は劣るもののプラセボに対して優位性が認められたことから、現在ではオラパリブも含め、BRCA病的変異の有無にかかわらずプラチナ感受性再発に対して経口維持療法としての適応が認められている。わが国においては、PARP阻害薬の1つであるオラパリブ(リムパーザ錠®)がプラチナ感受性再発に対する維持療法として2018年1月に承認された。
また、2018年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)において、生殖細胞系列のBRCAに病的変異を有するStage III/IVの卵巣癌を対象とした第III相ランダム化比較試験(SOLO1試験)で、オラパリブを初回化学療法後の維持療法として投与した場合に、プラセボと比較して、有意なPFSの延長が認められたことが発表され、その後に誌上発表された(N Engl J Med 2018; 379:2495-2505)。この結果からわが国では2019年6月に、BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌患者に対して初回化学療法後の維持療法としてオラパリブが使用可能となった。それに伴い、オラパリブの適応を判断するコンパニオン診断として BRCA遺伝学的検査が実施されている。BRCA遺伝学的検査の結果は当該患者のみならず、患者の血縁者に対しても影響が及ぶことから、その心理社会的な影響などに配慮して実施する必要がある。
さらに2019年9月に卵巣癌の腫瘍組織を対象とした遺伝子検査が、初回化学療法後のオラパリブ維持療法のコンパニオン診断として保険収載された。したがって、体細胞変異陽性者に対しての対応や生殖細胞系列変異との違いを理解しておく必要がある。この点については、VI. 腫瘍組織における遺伝子検査(コンパニオン診断、がんゲノムプロファイル)について、で後述する。
そこで、卵巣癌の診療現場において、特に保険診療としておこなうコンパニオン診断としてのBRCA遺伝子検査の実施に際して「卵巣癌患者に対してコンパニオン診断としてBRCA1あるいはBRCA2の遺伝学的検査を実施する際の考え方」を取りまとめた。会員諸氏におかれては,オラパリブ維持療法の可否を決定するためにBRCA遺伝子検査を実施する場合には、ここに示す要件を十分に勘案されたい。
Ⅰ. BRCA遺伝学的検査の実施における主治医の役割
① BRCA遺伝学的検査の実施は,主治医が患者に対してその検査の意義や限界について十分な説明を行う
② 卵巣癌の治療に従事しBRCA遺伝学的検査を実施する可能性のある医師は、「遺伝性乳癌卵巣癌症候群診療の手引き」等を熟読し、各種関連学会や関連団体の主催するセミナーや講演会などに参加することが望まれる。
解説
BRCA遺伝学的検査で病的変異が認められれば、血縁者が変異保持者である可能性を示すことになる。遺伝学的検査・診断の意義について十分な説明を行うには、卵巣癌の診断・治療に関する専門的な知識に加えて、遺伝学的な知識が必要であり、検査が血縁者に与える影響の大きさを十分に理解する必要がある。
既発症者に対する遺伝学的検査の事前の説明と同意・了解の確認を誰が行うかについては,日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン(2011年)」では以下のように述べられている。
3-1)すでに発症している患者の診断を目的として行われる遺伝学的検査
すでに発症している患者を対象とした遺伝学的検査は、主に、臨床的に可能性が高いと考えられる疾患の確定診断や、検討すべき疾患の鑑別診断を目的として行われる。遺伝学的検査は、その分析的妥当性、臨床的妥当性、臨床的有用性などを確認した上で、臨床的および遺伝医学的に有用と考えられる場合に実施する。複数の遺伝学的検査が必要となる場合は、検査の範囲や順番について、臨床的に適切に判断した上で実施する。検査実施に際しては、検査前の適切な時期にその意義や目的の説明を行うことに加えて、結果が得られた後の状況、および検査結果が血縁者に影響を与える可能性があること等についても説明し、被検者がそれらを十分に理解した上で検査を受けるか受けないかについて本人が自律的に意思決定できるように支援する必要がある。十分な説明と支援の後には、書面による同意を得ることが推奨される。これら遺伝学的検査の事前の説明と同意・了解(成人におけるインフォームド・コンセント、未成年者等におけるインフォームド・アセント)の確認は、原則として主治医が行う。また、必要に応じて専門家による遺伝カウンセリングや意思決定のための支援を受けられるように配慮する
また、医師の教育に関して、同ガイドラインには下記のように記載されている。
遺伝学的検査・診断を実施する際には,実施する各診療科の医師自身が遺伝に関する十分な理解と知識および経験を持つことが重要である.遺伝学的検査・診断に関する情報は常に更新されていることから,遺伝学的検査・診断に関わる医師は最新の研究成果を診療に生かすため積極的に新たな情報を得るよう自己研鑽に努める必要がある。
本検査は卵巣癌の治療法決定に影響する検査であることから、やはり卵巣癌患者を担当する主治医が遺伝学的検査の事前の説明と同意・了解の確認を行うことが適切と考えられる。このことは、厚生労働省科学研究費補助金がん対策推進総合研究事業(がん政策研究事業)「わが国における遺伝性乳癌卵巣癌の臨床遺伝学的特徴の解明と遺伝子情報を用いた生命予後の改善に関する研究」研究班(研究代表者:新井正美)により作成された、「遺伝性乳癌卵巣癌症候群診療の手引き」2017年版*3 にも明記されている。
遺伝学的検査は十分な知識と配慮のもとに行なうべき検査である。卵巣癌の治療に従事しBRCA遺伝学的検査を実施する可能性のある医師は、「遺伝性乳癌卵巣癌症候群診療の手引き」等を熟読し、各種関連学会や関連団体の主催するセミナーや講演会など*4 に参加することが望まれる。
Ⅱ. コンパニオン診断としてのBRCA遺伝学的検査を実施する施設基準について
PARP阻害薬のコンパニオン診断としてのBRCA遺伝学的検査の実施は以下の要件を満たすものとする
① 卵巣癌患者のBRCA遺伝子変異の検査は、婦人科腫瘍専門医、がん薬物療法専門医、または十分な卵巣癌の薬物療法の経験を有する産婦人科医が所属する施設で行う。
② BRCA陽性患者ならびにその家族の遺伝カウンセリングは、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー等が所属する施設で行う。
③ ①②を同時に満たすことが望ましいが、満たさない場合には、遺伝カウンセリング体制の国内状況を考慮して、①の施設は ②の施設との連携のもとで検査を実施することを可とする。
解説
前述のとおり、本検査は卵巣癌の治療法決定に影響する検査であることから、やはり卵巣癌患者を担当する主治医が遺伝学的検査の事前の説明と同意・了解の確認を行うことが適切と考えられる。主治医が、BRCA遺伝子を含む生殖細胞系列変異の病態を理解するとともに、PARP阻害薬の有効性、安全性を十分理解したうえで実施することが求められる。ただし、検査結果が陽性であった場合、患者のみならず、血縁者にも影響することから、遺伝カウンセリングを職能とする資格である臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーと連携する体制をあらかじめ構築しておく必要がある。卵巣癌治療を行っている施設のすべてにおいて遺伝カウンセリング体制が整っていないという現状を鑑みて、主治医の所属する施設とは異なる施設で遺伝カウンセリングを実施することを可とする。
Ⅲ.BRCA遺伝学的検査の対象となる患者及び実施のタイミング
現在、Stage III/IV卵巣癌患者に対して、オラパリブのコンパニオン診断としてのBRCA遺伝学的検査が保険診療として行われている。(保険診療としては、現時点ではBRCA1/2遺伝子検査(BRCAnalysis診断システム)のみが使用可能である。)また、検査実施の時期については、初回化学療法のレジメンが、その後の維持療法にも影響する*ことから、化学療法を実施する前にBRCA遺伝学的検査の結果が得られていることが必要であり、手術等により(臨床的判断も含む)**、Stage III/IVが確定したあとに実施する。
解説
* 卵巣癌stage III/IVの初回薬物療法に、プラチナ製剤を含む化学療法とベバシズマブの併用+ベバシズマブの維持療法を行うことが薦められている(日本婦人科腫瘍学会 卵巣がん治療ガイドライン2015年版アップデイト, https://jsgo.or.jp/guideline/img/ransou2015_cq18.pdf(627KB))。それに対して SOLO1試験ではベバシズマブの投与を含んだ症例は含まれておらず、ベバシズマブを投与した場合の有効性、安全性は示されていないことから、オラパリブを維持療法として投与する場合には、直前の化学療法時にベバシマブを併用することや維持療法としてベバシズマブとオラパリブの両者を投与することは現時点では勧められない。したがって、BRCA遺伝学的検査が陽性でオラパリブの維持療法を行う場合には、初回化学療法においてベバシズマブの投与は薦められない。
以上より、初回化学療法を開始するときに、初回化学療法後の維持療法を見据えた治療選択を行う必要があり、初回化学療法を開始する前にBRCA遺伝学的検査の結果が得られている必要がある。本検査では、出検してから結果が返ってくるまでに約3週間かかることから、初回化学療法開始に間に合わせるためには、Stage III/IVが確定した段階で、すみやかに検査を実施する必要がある。
**一部の症例では、画像診断や腹腔鏡検査などにより臨床的にStage III/IVであることを確認し、術前化学療法を実施することがある。そのため、必ずしも術後とは限らず、臨床的判断でStage III/IVが確認された段階で検査を実施することを可とする。
Ⅳ.BRCA遺伝学的検査に関する遺伝についての相談・説明、遺伝カウンセリングの考え方
① 医療施設の一般外来等で該当患者から主治医に寄せられる遺伝に関する質問への対応は遺伝カウンセリングとはせず、遺伝に関する相談・説明との位置づけにするのが適切と考えられる。
② 主治医は遺伝の相談・説明を実施するに当たって、各種関連学会の主催するセミナーや講演会などに参加し、臨床遺伝学、遺伝学的検査・診断に関する知識を習得することが望まれる。
③ 主治医が該当患者に説明する状況において、発症者だけでなく未発症の血縁者を含め心理社会的な支援が必要と判断された場合、発症者やその血縁者が希望した場合、遺伝カウンセリングを考慮する。したがって、主治医は遺伝学的検査・診断を行うに際しては、遺伝カウンセリングがどのようなものか十分に理解しておく必要がある。
④ BRCA遺伝学的検査を検討する前に、自施設もしくは他施設の臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーなど遺伝医療の経験を有する医療従事者と連携する体制を確立しておくことが望まれる。
解説
遺伝カウンセリング*5 を行うにあたって、日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン(2011年)」では、下記のように記載されている。
遺伝カウンセリングは,情報提供だけではなく,患者・被検者等の自律的選択が可能となるような心理的社会的支援が重要であることから,当該疾患の診療経験が豊富な医師と遺伝カウンセリングに習熟した者が協力し,チーム医療として実施することが望ましい。
BRCA遺伝学的検査が普及するにあたり、遺伝カウンセリングが必要となる状況が増えると考えられる。また、遺伝カウンセリングは、患者のみならず血縁者に対しても可能であることを、検査を行う前に主治医から患者に伝えておく。BRCA遺伝学的検査を行う前に、遺伝カウンセリングが必要になった場合なども想定し、遺伝カウンセリングを職能とする資格である臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラー*6 と連携する体制をあらかじめ構築しておく必要がある。
なお、病的変異保持者の可能性のある未発症者に対する対応については、日本産科婦人科学会雑誌に「BRCA1またはBRCA2遺伝子変異保持者に対するリスク低減卵管卵巣摘出術(Risk Reducing Salpingo-Oophorectomy: RRSO)に関する考え方」*7 が掲載されているので参照されたい。
Ⅴ.個人情報および個人遺伝情報の取扱い
① 遺伝学的検査・診断情報は,原則として医療者が共有する情報として診療録に記載し,最大限の配慮と守秘義務の順守により適切に取扱うことが必要である。
解説
遺伝学的検査・診断に関わる遺伝情報の取り扱いについて、日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン(2011年)」では下記のように記載されている。
遺伝情報にアクセスする医療関係者は,遺伝情報の特性を十分理解し,個人の遺伝情報を適切に扱うことが求められる。すでに発症している患者の診断を目的として行われた遺伝学的検査の結果は,原則として,他の臨床検査の結果と同様に,患者の診療に関係する医療者が共有する情報として診療録に記載する必要がある。
遺伝情報は最も取り扱いに注意すべき個人情報である。医療者が共有する情報として診療録に記載するが、最大限の配慮と守秘義務の順守により適切に取扱うことが必要である。
Ⅴ.個人情報および個人遺伝情報の取扱い
卵巣癌患者においてPARP阻害薬は、腫瘍組織のBRCA 変異(tBRCA)が陽性であれば、生殖細胞系列由来(germline: gBRCA)か体細胞由来(somatic: sBRCA)かによらず、その効果が期待される。本邦における卵巣癌III, IV 期の生殖細胞系列BRCA(gBRCA)変異陽性率は24.1%と報告されている。一方、体細胞BRCA(sBRCA)変異陽性率(gBRCA を含まない)は5~7%前後と報告されている。すなわち、卵巣癌III, IV 期の腫瘍組織におけるBRCA 変異(tBRCA)陽性率(gBRCA, sBRCA 双方を含む)は全体で約30%と見込まれる。卵巣癌における初回化学療法後のオラパリブ維持療法のコンパニオン診断として、腫瘍組織を対象としたFoundationOne® CDx がんゲノムプロファイルが2019年9月25日に薬事承認されており、理論上はsBRCA 変異陽性患者にもオラパリブ維持療法が可能である。しかしながら、FoundationOne® CDxがんゲノムプロファイルは、通常標準治療終了後(もしくは終了見込み)の患者に行われており、初回治療中にコンパニオン診断としてのみ本検査を行うことは現段階では困難をともなう(エキスパートパネル対象外となり、プロファイル検査判断・説明料の4万8000点は算定されない)。なお、保険診療としてがんゲノムプロファイル検査(OncoGuideTM NCCオンコパネル システムを含む)を行えるのは、厚生労働省の指定を受けたがんゲノム医療中核拠点病院、拠点病院、連携病院に限られることにも留意が必要である。BRCA1/2遺伝子検査(BRACAnalysis診断システム:gBRCA変異の評価)によるコンパニオン診断を受けた卵巣癌患者において、gBRCA変異が陰性で、将来的にがんゲノムプロファイル検査によりsBRCA変異が明らかとなる場合があることより、生殖細胞系列変異と体細胞変異とを区別して説明しておくことが必要である。なお、卵巣癌症例でFoundationOne® CDxがんゲノムプロファイルにおいてtBRCA変異が認められたときには、gBRCA変異陽性の可能性が高いことより、遺伝カウンセリングや遺伝学的検査を適切に提供できるようにしておく必要がある。その場合の対応については、日本医療研究開発機構(AMED)のゲノム創薬基盤推進研究事業 A‐②:ゲノム情報患者還元課題―患者やその家族等に対して必要とされる説明事項や留意事項を明確化する課題「医療現場でのゲノム情報の適切な開示のための体制整備に関する研究」(研究代表者:京都大学 小杉眞司)で作成された 「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言―その1:がん遺伝子パネル検査を中心に(改定第2版)」*8が掲載されているので参照されたい。
おわりに
癌薬物療法では標準治療と呼ばれる薬剤の選択と使い方はあっても,その効果は個人差が大きい。一方、いくつかの癌分子標的薬ではコンパニオン診断*9 の結果に基づいて薬剤が選択される。BRCAの病的変異がバイオマーカーとしての意義を有するPARP阻害薬も個別化医療の一躍を担うものと考えることができる。婦人科腫瘍領域では今後も癌細胞あるいは生殖細胞系列の各種DNA解析が臨床応用されると考えられるので、現時点から臨床遺伝学についても精通しておく必要がある。
(2019年5月16日版から新たに追加した主な箇所を下線で示している)
注
*1 最近では、「変異(mutation)」の代わりに「バリアント(variant)」が使われるようになってきている。
*2 PARP阻害薬の1つであるオラパリブについては、2014年12月に欧州医薬品庁(EMA)と米国食品医薬品局(FDA)により相次いで承認されている。現在わが国においてもプラチナ感受性再発卵巣癌を対象とした治験が終了し、2018年1月に承認された。また、その他のPARP阻害薬の治験も進行中であり、または今後開始される可能性がある。
*3「遺伝性乳癌卵巣癌症候群診療の手引き」2017年版 金原出版 (2017年10月刊行)
*4 現在、HBOC等に関するセミナーや講演会などは、以下の各種関連学会や関連団体が主催している。
<関連学会・団体>
日本婦人科腫瘍学会 https://www.jsgo.or.jp/
日本産科婦人科学会 http://www.jsog.or.jp/
日本産科婦人科遺伝診療学会 http://jsgog3.umin.jp/
日本人類遺伝学会 http://jshg.jp/
日本遺伝カウンセリング学会 http://www.jsgc.jp/
日本遺伝性腫瘍学会 http://jsht.umin.jp/
日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構 http://www.jsmo.or.jp/
日本臨床腫瘍学会 https://www.jbcs.gr.jp/
*5 遺伝カウンセリングの定義
遺伝カウンセリングは,疾患の遺伝学的関与について, その医学的影響, 心理学的影響, および家族への影響を, 人々が理解し適応していくことを助けるプロセスである.このプロセスには,次項が含まれる.
- 疾患の発生および再発の可能性を評価するための家族歴および病歴の解釈
- 遺伝現象,検査,マネージメント,予防,資源,および研究についての教育
- インフォームド・チョイス(十分な情報を得た上での自律的選択), およびリスクや状況への適応を促進するためのカウンセリング
(米国遺伝カウンセラー学会 2005)
*6 臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー
臨床遺伝専門医は適切な遺伝医療の実行と遺伝子に関係した問題の解決等を担う専門医である。日本人類遺伝学会あるいは日本遺伝カウンセリング学会が認定・更新を行う。
http://www.jbmg.jp/
認定遺伝カウンセラーは遺伝医療を必要としている患者や家族に適切な遺伝情報や社会の支援体勢等を含むさまざまな情報提供を行い、心理的、社会的サポ-トを通して当事者の自律的な意思決定を支援する保健医療・専門職である。認定遺伝カウンセラーは日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会が協力して制度化をしている。基盤の職種としては看護師、保健師、助産師などのメディカルスタッフや、臨床心理士、社会福祉士、薬剤師、 栄養士、臨床検査技師など、また生物学・生化学などの遺伝医学研究者やその他の人文・社会福祉系などの専門職が考えられている。大学院修士課程で養成がなされている。
http://plaza.umin.ac.jp/~GC/
*7 日産婦誌 2016;68(6), 1332-1334
*8 「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言―その1:がん遺伝子パネル検査を中心に(改定第2版)」 日本医療研究開発機構(AMED)ゲノム創薬基盤推進研究事業 A‐②
https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20200121.html
*9 コンパニオン診断とは、医薬品の効果や副作用を投薬前に予測するために臨床検査を実施すること。その際用いられる体外診断用医薬品(in vitro diagnostic; IVD)をコンパニオン診断薬(companion diagnostics; CoDxもしくはCDx)と称する。多くは医薬品の有効性や安全性を一層高めるために、その使用対象患者に該当するかどうかなどをあらかじめ検査する目的で使用される。
平成 25 年 7 月 1 日に厚生労働省医薬食品局審査管理課長より発出された「コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品の承認申請に係る留意事項について」によれば、コンパニオン診断薬等とは、特定の医薬品の有効性又は安全性の向上等の目的で使用する次のいずれかに該当するものであって、当該医薬品の使用に不可欠な体外診断用医薬品又は医療機器(単に疾病の診断等を目的とする体 外診断用医薬品又は医療機器を除く。)であること。
(1)特定の医薬品の効果がより期待される患者を特定するための体外診断用医薬品又は医療機器(2)特定の医薬品による特定の副作用について、それが発現するおそれの高い患者を特定するための体外診断用医薬品又は医療機器(3)特定の医薬品の用法・用量の最適化又は投与中止の判断を適切に実施するために必要な体外診断用医薬品又は医療機器、と記載されている。原則として、当該医薬品の承認申請を行う際は、同時期に当該コンパニオン診断薬等の承認申請が行われるべきであること、とされている。
がんゲノム医療、HBOC診療の適正化に関するワーキンググループ
委員長 青木大輔
委員 榎本隆之 岡本愛光 織田克利 竹原和宏 津田 均 永瀬 智
平沢 晃 万代昌紀 三上幹男 八重樫伸生 渡部 洋
(2020年3月14日理事会にて承認)
COVID-19の感染拡大下での婦人科腫瘍診療について
2020年4月2日
会員各位
公益社団法人日本婦人科腫瘍学会
理事長 青木大輔
このたびのCOVID-19の感染拡大は当該疾患への対応のみならず、産婦人科医療においても多くの場面での影響が憂慮されます。婦人科腫瘍に対する診療も例外ではありません。先々の状況を見通すことができない状況であることから、特に進行性の悪性腫瘍の治療にあたっては今後のCOVID-19の感染拡大の増悪に対して今から対策を講じておく必要があります。
しかしながら、COVID-19については地域ごと、施設ごとで状況が異なるため全国一律の対策を実施することは困難であり、地域ごとの、また各々の施設ごとの、医療リソースを勘案し、その時々での最善の医療を提供すべきと考えます。さらに、感染拡大が進行した状況下では、医療者の安全確保も最善の医療提供のためには不可欠になるため、状況によっては標準治療と異なる選択肢もある程度許容されるべきと考えます。この件については、内外の学会からstatementが発出されていますので、まずはそれらをご案内し、意思決定の参考にしていただきたいと考えます。なお、海外からのstatementについては発出の際の感染拡大状況や医療の提供体制が本邦の現状とは異なっていることにご留意ください。今後、本邦においても厚生労働省や日本癌治療学会等の関連学会からCOVID-19に対応した癌治療の指針や考え方等が発出されると思われますので、それらの情報にもご留意ください。
会員の皆さまの安全を祈念しつつ、この難局を一緒に乗り越えていきたいと考えております。
・IJGC(International Journal of Gynecological Cancer)
https://ijgc.bmj.com/content/early/2020/03/27/ijgc-2020-001419?utm_source=adestra&utm_medium=email&utm_campaign=usage&utm_content=americas-covid19&utm_term=ijgc
・FIGO (International Federation of gynecology and Obstetrics)
https://www.figo.org/covid-19-resources-english
https://www.figo.org/covid-19-management-gynecological-cancers
・Society of Gynecologic Oncology(SGO)
https://www.sgo.org/clinical-practice/management/covid-19-resources-for-health-care-practitioners/
・ACS(American college of Surgeons)
https://www.facs.org/
・ASCO(American Society of Clinical Oncology)
https://www.asco.org/asco-coronavirus-information
・BGCS (Society(British Gynaecological Cancer)
https://www.bgcs.org.uk/professionals/guidelines-for-recent-publications/
・ESGO(European Society of Gynecological Oncology)
https://www.esgo.org/esgo-covid-19-communication/
・ESMO(European Society of Medical Oncology)
https://www.esmo.org/newsroom/covid-19-and-cancer?hit=ehp
・SSO (Society of Surgical Oncology)
https://www.surgonc.org/resources/covid-19-resources/
ASGOワークショップ2020延期のお知らせ
会員各位
ASGOワークショップ2020の運営事務局より延期のお知らせをいただきました。
下記をご確認ください。
よろしくお願いいたします。
Dear Colleagues and Friends,
Due to the COVID-19 epidemic status in Taiwan, the 6th International Workshop on Gynecologic Oncology of the Asian Society of Gynecologic Oncology (ASGO Workshop 2020) on May 2nd-3rd has been postponed. Further information will be posted soon.
Thank you for your understanding and we look forward to accommodating you in Taipei, Taiwan.
If you have any questions, please contact us and we will reply you as soon as possible.
Sincerely yours,
Secretariat of ASGO Workshop 2020
「卵巣がん・卵管がん・腹膜がん治療ガイドライン2020年版」パブコメ募集のお知らせ
卵巣がん・卵管がん・腹膜がん治療ガイドライン2020年度版の草稿の全文をホームページにアップいたしました。
トピックスメニューにありますアイコンをクリックの上、ご覧ください。
ご意見を下記アドレスに4月18日(土)までにお送り下さい。よろしくお願いいたします。
【送り先】
日本婦人科腫瘍学会事務局:gyne-oncol@jsgo.or.jp
日本婦人科腫瘍学会
ガイドライン委員会
委員長 三上幹男
副委員長 永瀬 智
本会会員の婦人科腫瘍専門医資格停止について
令和元年度婦人科腫瘍専門医試験問題作成において、重大な規律違反がありました。
当該会員については、専門医制度規則第12条5項により、令和2年3月14日より婦人科腫瘍専門医資格を停止といたしました。
なお、プライバシー保護の観点から、本会として、これ以上の公表は控えさせていただきます。
令和2年3月14日
公益社団法人日本婦人科腫瘍学会
理事長 青木 大輔
専門医制度委員会委員長 八重樫伸生
ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言
このたび、京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 医療倫理学・遺伝医療学分野 小杉 眞司先生が、「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言―その1:がん遺伝子パネル検査を中心に(改定第2版)」及び「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言―その2:次世代シークエンサーを用いた生殖細胞系列網羅的遺伝学的検査における具体的方針(改定版)」を公開されました。
下記より提言をご確認ください。