腫瘍研究の利益相反に関するJSGO指針

腫瘍研究の利益相反に関するJSGO指針施行細則

(目的)
第1条
この規則は,この法人(以下,「本法人」と略す。)が「腫瘍研究における利益相反に関する指針」(以下,「本指針」と略す。)を対象者に遵守させるにあたり,本指針の具体的な運用方法と,違反者への措置方法を示すことを目的とする。

(本法人学術集会などでの発表)
第2条
筆頭演者が開示する義務のある利益相反状態は,発表内容に関連する企業または営利を目的とする団体に関わるものに限定する。

2 本法人の学術集会,シンポジウム,講演会及び市民公開講座などで発表・講演を行う者は,演題応募または抄録提出時に,過去3年間における筆頭演者の利益相反状態の有無を明らかにしなければならない。

3 発表時に明らかにする利益相反状態については,本指針「4.開示・公開すべき事項」で定められたものを,発表スライド,あるいはポスターの最後に,「筆頭演者の利益相反自己申告書」(様式1)に従って開示するものとする。開示が必要なものは,抄録提出3年前から発表時までのものとする。ただし,各々の開示すべき事項について,自己申告が必要な金額等を次のように定める。

  1. 企業または営利を目的とした団体の役員,顧問職については,1つの企業または団体からの報酬額が年間100万円以上の場合。
  2. 株の保有については,1つの企業についての1年間の株による利益(配当,売却益の総和)が100万円以上の場合,あるいは当該企業の全株式の5%以上所有する場合。
  3. 企業または営利を目的とした団体からの特許権使用料については,1つの特許権使用料が年間100万円以上の場合。
  4. 企業または営利を目的とした団体から,会議の出席(発表)に対し,研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)については,一つの企業または団体からの年間の日当が合計50万円以上の場合。
  5. 企業または営利を目的とした団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料については,1つの企業または団体からの年間の原稿料が合計50万円以上の場合。
  6. 企業または営利を目的とした団体が提供する研究費については,1つの企業または団体から医学系研究(受託研究費,共同研究費,治験など)に対して申告者が実質的に使途を決定し得る研究契約金で実際に割り当てられた総額が年間100万円以上の場合。
  7. 企業または営利を目的とした団体が提供する奨学寄附金(奨励寄附金)については,1つの企業・組織や団体から,申告者個人または申告者が所属する部局(講座・分野)に対して申告者が実質的に使途を決定し得る研究契約金で実際に割り当てられた総額が年間100万以上の場合。
  8. 訴訟等に際して企業や営利を目的とした団体から支払われる顧問料及び謝礼。
  9. 企業や営利を目的とした団体からの研究員等を受け入れている場合。
  10. 企業等が提供する寄附講座については,企業等からの寄附講座に所属している場合。
  11. その他の報酬(研究とは直接無関係な旅行,贈答品など)については,1つの企業または団体から受けた報酬が年間5万円以上の場合。

(機関誌などでの発表)
第3条
著者が開示する義務のある利益相反状態は,投稿内容に関連する企業または営利を目的とする団体に関わるものに限定する。

2 本法人の機関誌日本婦人科腫瘍学会雑誌 (Japanese Journal of Gynecological Oncology)やその他本法人刊行物で発表を行う者は,投稿時に,投稿規定に定める「投稿者の利益相反自己申告書」(様式2)により,利益相反状態を明らかにしなければならない。

  1. この様式2の情報は,論文末尾,文献の直前の場所に印刷される。規定された利益相反状態がない場合は,同部分に,「本論文に関わる著者の利益相反:なし」などの文言を入れる。
  2. 投稿時に明らかにする利益相反状態については,本指針「4. 開示・公開すべき事項」で定められたものを自己申告するものとする。各々の開示すべき事項について,自己申告が必要な金額は,第2条第3項各号で規定された金額と同一とする。
  3. 開示が必要なものは,論文投稿時の前の年から過去3年間及び出版受理時までのものとする。日本婦人科腫瘍学会雑誌以外の本学会刊行物での発表も,これに準じた書式で自己申告書を提出する。

(役員等)
第4条
役員,学術集会長,次期学術集会長,次次期学術集会長,各種委員会委員長,各種ワーキンググループ委員長,社会保険委員会委員,倫理委員会委員,ガイドライン委員会委員,利益相反委員会委員,編集委員会委員,代議員(以下,「役員等」と略す。)が開示・公開する義務のある利益相反状態は,本法人が行う事業に関連する企業または営利を目的とする団体に関わるものに限定する。

2 本法人の役員等は,新就任時と,就任後は1年ごとに「役員等の利益相反自己申告書」(様式3)を提出しなければならない。また,在任中に新たな利益相反状態が発生した場合は,6週間以内に様式3によって報告しなければならない。

  1. 様式3に開示・公開する利益相反状態については,本指針「4. 開示・公開すべき事項で定められたものを自己申告するものとする。また,様式3には,企業または営利を目的とした団体からの寄附講座についても自己申告するものとする。
  2. 各々の開示・公開すべき事項について,自己申告が必要な金額は,第2条第3項各号で規定された金額と同一とする。
  3. 様式3は1年間分を記入し,その算出期間を明示する。新就任時は,就任日から3年前までさかのぼった利益相反状態を自己申告しなければならない。この場合,就任の前前々年の1月1日から12月31日,前々年の1月1日から12月31日,前年の1月1日から12月31日までの3年間分(様式3)を,作成して提出する。
  4. 役員等のいずれかを兼任する者は,その就任の時期の最も早いものについて,その就任日の3年前までさかのぼった自己申告書(様式3)を提出するものとする。

3 社会保険委員会,倫理委員会,ガイドライン委員会,利益相反委員会,編集委員会の委員長には,以下の利益相反状態のない者を選任する。

  1. 企業または営利を目的とした団体の役員,顧問職については,1つの企業や1つの団体などからの報酬額が年間500万円を超える者。
  2. 株の保有については,1つの企業についての1年間の株による利益(配当,売却益の総和)が500万円を超える者。
  3. 企業または営利を目的とした団体からの特許権使用料については,1つの特許権使用料が年間500万円を超える者。
  4. 企業または営利を目的とした団体から,会議の出席(発表)に対し,研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)については,1つの企業や1つの団体などからの年間の日当が合計500万円を超える者。
  5. 企業または営利を目的とした団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料については,1つの企業や1つの団体などからの年間の原稿料が合計500万円を超える者。
  6. 企業または営利を目的とした団体が提供する研究費については,1つの企業や1つの団体などから1名の研究代表者に支払われた総額が年間2,000万円を超える者(ただし,企業治験に関わるものは総額から除くものとする。)。
  7. 訴訟等に際して企業や営利を目的とした団体から支払われる顧問料及び謝礼が年間500万円を超える者。
  8. 企業または営利を目的とした団体が提供する奨学寄附金(奨励寄附金)については,1つの企業・組織や団体から,申告者個人または申告者が所属する部局(講座・分野)あるいは研究室の代表者に支払われた総額が年間2,000万円を超える者(ただし,企業治験に関わるものは総額から除くものとする。)。
  9. 企業や営利を目的とした団体からの研究員等を受け入れている者。
  10. 企業が提供する寄附講座に専任又は兼任で所属している者。
  11. その他の報酬(研究とは直接無関係な旅行,贈答品など)については,1つの企業や1つの団体などから受けた報酬が年間50万円を超える者。

(所属する研究機関組織等の組織COI)
第5条
申告者が所属する研究機関組織そのものに COIがある場合,又は特定の企業などとCOI状況にある所属機関・部門の長と共同研究者,分担研究者の関係にある場合のいずれかに該当し,かつ,自らが関わる当該学会事業活動に対して直接あるいは間接的に影響を及ぼす可能性が想定される場合には,以下の(1)〜(3)に該当する事項で,過去3年間において,以下の基準を超えるときは,その正確な状況を学会に申告する。

  1. 企業・組織や団体が提供する研究費については,1つの企業・団体から, 医学系研究(共同研究,受託研究,治験など)に対して実質的に使途を決定し得る研究契約金の総額が年間 1,000 万円以上のもの
  2. 企業・組織や団体が提供する寄附金については,1つの企業・団体から, 申告者が所属する所属機関・部門そのものあるいは所属機関・部門の長に対して,実質的に使途を決定し得る寄附金で実際に割り当てられた総額が 年間 200 万円以上のもの
  3. その他,申告者所属の研究機関,部門あるいはそれらの長(過去 3年以内に共同研究,分担研究の関係)が株式保有(全株式の5%以上), 特許使用料,あるいはベンチャー企業への投資などがあるもの

(利益相反自己申告書の取扱い)
第6条
本規則に基づいて本法人に提出された様式3及びそこに開示された利益相反状態(利益相反情報)は,本法人事務局において,理事長を管理者とし,個人情報として厳重に保管・管理する。

2 利益相反情報は,本指針に定められた事項を処理するために必要な場合に,理事会,理事長及び利益相反委員会が利用できるものとする。

3 前項の利用には,当該申告者の利益相反情報について利益相反委員会の決議並びに理事会の承認を得て当該利益相反情報のうち必要な範囲を,本法人内部に開示,あるいは社会へ公開する場合を含むものとする。

4 本法人の刊行するガイドライン策定(評価)に関わる委員会委員長は、個々のガイドライン策定(評価)を行うワーキンググループ等の構成員を選抜するに際して,適切な人選のために当該委員会委員の利益相反情報を利用することができるものとする。

5 第1項の様式3の保管期間は,役員等の任期終了後2年間とし,その後は理事長の監督下で廃棄される。ただし,その保管期間中に,利益相反情報について疑義もしくは社会的・法的問題が生じた場合は,理事会の決議により,当該利益相反情報を記載した様式3の廃棄を保留できるものとする。

(指針違反者への措置)
第7条
本指針に違反した者への措置については,本指針7.「指針違反者への措置と説明責任」を適用する。

(変更)
第8条
この規則は,理事会の決議を経て変更できるものとする。

附則
1. この施行細則は、2010年5月1日から施行する。
2. 2017 年 7月 28 日一部改正施行
3. 2020 年 3月 14 日一部改正施行
4.2021年 11 月 22 日一部改正施行

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