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はじめに

日本婦人科腫瘍学会は、婦人科腫瘍の診断や治療を専門とする婦人科医、病理医、放射線科医などにより運営されている学術団体です。このホームページでは、婦人科腫瘍に対して現在行われている標準的な取り扱いと最新の情報について解説します。

このホームページはあくまで婦人科腫瘍に対する標準的な取り扱いを記載しています。個々の治療に際しては種々の要因が関与します。
個別の診断・治療に関する質問については、お近くの婦人科腫瘍の専門医のいる病院でセカンドオピニオンを求められることをお勧めします。

婦人科腫瘍とは

そもそも腫瘍とは何でしょうか。人間の身体は約60兆個と言われる沢山の細胞からできています。それらの細胞は一定の期間がくると消滅し、新たな細胞に置き換わります。例えば、皮膚細胞の寿命は28日間であり、古くなった細胞は剥離して新しい皮膚に置き換わります。一方、何らかの機転で細胞が死なずに増え続けると、塊(腫れ物)ができますが、それを腫瘍と言います。腫瘍には他の臓器への転移や周辺へ浸潤をおこす悪性腫瘍と、それらをおこさない良性腫瘍とがあります。子宮筋腫は大きくなっても転移や浸潤をおこさないので良性腫瘍とされ、一方、子宮がんは悪性腫瘍です。現在、腫瘍は遺伝子の異常で惹き起こされる病気と考えられています。

婦人科で扱う主な臓器は子宮と卵巣です(図1参照)。子宮は骨盤内にある臓器で、成人女性の子宮の大きさは鶏卵大程度です。子宮は体部と頸部に分けられます。子宮体部は筋肉でできており、内側は子宮内膜で覆われています。子宮内膜は、性周期に伴って増殖と分化を繰り返し、脱落して月経となります。子宮筋から発生した腫瘍が子宮筋腫であり、最も高頻度にみられる良性腫瘍です。晩婚化を反映して、最近では未婚女性や不妊症例での子宮筋腫の取り扱いが問題となっています。

子宮がんは子宮の頸部に発生する子宮頸癌と体部に発生する子宮体がん(内膜がんとも言います)に分類されます。これら2種類のがんは全く異なった性格を持っています。

卵巣は女性ホルモンを産生・分泌したり、排卵を営む臓器で、骨盤内の左右に1個づつあります。卵巣の大きさは母指頭大ですが、閉経後には萎縮して小さくなります。卵巣にできる腫瘍には非常に多くの種類があります。卵巣がんは欧米に多い病気でしたが、最近は日本でも増加しています。

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは子宮内膜を増殖させ、前がん病変である子宮内膜増殖症や子宮体がんの発生に関与します。子宮体がんは肥満、糖尿病、高血圧症や不妊症の女性に多いことが知られています。

乳がんも女性ホルモンに関連して発生する腫瘍です。初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、初産年齢が高い、出産児数が少ないほど乳がんのリスクが高くなります。

婦人科がんにおける最近の傾向

生活様式の変化に伴い婦人科がんの罹患率にも変化がみられます(図2参照)。最近、日本で増加しつつある婦人科がんは、乳がん、子宮体がん、卵巣がん、および若年者の子宮頸癌です。

子宮頸癌は婦人科悪性腫瘍のなかでは最も多いがんです。子宮頸癌の有病率は、30歳代で0。29%、40歳代で0。13%、50歳代で0。08%と若年者に多くみられます。子宮頸部を覆う上皮内に異常細胞が存在する前がん病変の異形成や上皮内がんの段階で発見することにより、子宮の温存も可能になりました。子宮頸癌の発生には性行為によって感染するヒトパピローマウイルスが関与していることが明らかとなっています。

子宮がんのなかで体がんが占める割合は30%を越え、その発生は10年の間に2倍以上となっています。子宮体がんの好発年令は、子宮頸癌に比べてやや高齢で、50~60歳代とされています。

乳がんの罹患者数は最近の20年間で2。6倍と、明らかに増加の一途をたどっています。乳がん罹患は40歳代に、死亡は50歳代にピークを持つという特徴があり、壮年層の部位別がん死亡率では今や乳がんが最も多くなっています。乳がんは他のがんに比較して一般に予後良好と考えられていますが、治療後長期間を経ても再発することがあり、結局、全乳がん患者の30%は死亡します。乳がんの死亡率を減少させるためには、早期に発見し治療することが重要です。乳がんの主な症状は乳房のしこりで、注意深く触診すれば自分で発見することができます。しかし、しこりの小さなものや、あるいはしこりをつくらないタイプの乳がんもあります。この場合は、マンモグラフィー(レントゲン検査)や超音波検査によって診断します。

これらの疾患と婦人科検診について以下に詳しく述べます。

図1.内性器

図2.女性特有のがんの死亡率の推移

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