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子宮頸がん

はじめに

子宮頸がんは、主に子宮頸部にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染することによって発生する悪性腫瘍で、女性生殖器の中では子宮体がんに次いで2番目に頻度の高い疾患です。組織学的には扁平上皮がんが約75%、腺がんが約23%を占めており、年々腺がんの割合が上昇しています。多産婦に多く、また若年者に多いのが特徴で、25-34歳の女性の浸潤がんでは乳がんに次いで2番目に多いとされています。好発年齢は30歳から40歳代ですが、進行がんは60歳代以降で多くなると報告されています(図1)。

図1 子宮頸がんの進行期別年齢分布

図1 子宮頸がんの進行期別年齢分布

日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会報告 2017年度患者年報
(日産婦誌2019年71巻686頁)より

症状

子宮頸がんは、異形成(子宮頸部上皮内病変)という前がん状態を経てがん化することが知られており、がんに進行する前に細胞診という検査で見つけることができます。

前がん状態や浸潤を始めたばかりのころには、自覚症状がないことが多く、性交渉に伴う接触出血がみられる程度です。そのため、無症状のときから検診を受けることが重要です。

一方で、がんが進行すると、水腎症による腰痛や、膀胱・直腸への浸潤による血尿・血便が見られることがあります。

検査

がん検診では通常、細胞診のみを行います。そして、細胞診で異常が疑われた時には、精密検査として組織診、コルポスコープ診(腟拡大鏡による診察)を行います。また、がんの広がりを確認する検査としては、内診、超音波検査、CT検査、MRI検査などを行います。

<細胞診>

子宮の入口(外子宮口)付近を器具でこすって細胞を採取し、細胞の形の異常などについて確認します。細胞診で得られた結果はすべて「疑い診断」であり、細胞診のみで診断が確定することはありません。

<組織診>

細胞診で異常があった場合は、疑わしい部分から小さな組織を切り取り、顕微鏡で診断します。子宮頸がんであることの確定診断に用いる検査です。

<コルポスコープ診>

コルポスコープという拡大鏡で、子宮頸部の粘膜表面を拡大し細かい部分を観察します。通常、コルポスコープで異常が疑われた部位の組織を採取することにより、組織診の診断精度が上がると考えられています。

<CT/MRI検査>

CT検査はX線を使って、MRI検査は磁気を使って身体の内部を描き出し、治療前に転移や周辺臓器へのがんの広がりを調べます。通常、子宮頸部の病変はMRI検査のほうが明瞭に描出されます。そのためMRI検査は骨盤内病変の精査を目的として行われます。一方でCT検査は広い範囲の検査を同時に行う事ができるため、肺や肝臓などの遠隔臓器への転移や、リンパ節転移の診断などに用いられます。

臨床進行期(ステージ)

進行期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いて「ステージ」とも言います。がんの大きさだけでなく、粘膜内にがんがどの程度深く入っているか、リンパ節転移や肺などの遠隔臓器への転移があるかどうかなどで分類されます(表1)。子宮頸がんの5年生存率は進行期ごとに図2のように報告されています。

表1 子宮頸がんの臨床進行期分類(日産婦2011、FIGO2008)

I期 がんが子宮頸部のみに認められ、他に広がっていない
 IA期 組織学的にのみ診断できる浸潤がんで間質浸潤の深さが5mm以内、縦軸方向の広がりが7mmを超えないもの
  IA1期 組織学的にのみ診断できる浸潤がんで間質浸潤の深さが3mm以内、縦軸方向の広がりが7mmを超えないもの
  IA2期 間質浸潤の深さが3mmを超えるが5mm以内、縦軸方向の広がりが7mmを超えないもの
 IB期 臨床的に明らかな病変が子宮頸部に限局するもの
  IB1期 病変が4cm以内のもの
  IB2期 病変が4cmを超えるもの
II期 がんが子宮頸部を超えて広がっているが、骨盤壁または腟壁の下1/3には達していないもの
 IIA期 がんが腟壁に広がっているが、子宮頸部の周囲の組織へは広がっていないもの
  IIA1期 病変が4cm以内のもの
  IIA2期 病変が4cmを超えるもの
 IIB期 がんが子宮頸部の周囲の組織に広がっているが、骨盤壁までに達していないもの
III期 がんが骨盤壁まで達するもので、がんと骨盤壁との間にがんでない部分をもたない、または腟壁の浸潤が下方部分1/3に達するもの
 IIIA期 がんの腟壁への広がりは下方部分の1/3に達するが、子宮頸部の周囲の組織への広がりは骨盤壁にまでは達していないもの
 IIIB期 がんの子宮頸部の周囲の組織への広がりが骨盤壁にまで達しているもの、または腎臓と膀胱をつなぐ尿管ががんでつぶされ、水腎症や腎臓が無機能となったもの
IV期 がんが小骨盤腔を超えて広がるか、膀胱・直腸の粘膜に広がっているもの
 IVA期 膀胱や直腸の粘膜へがんが広がっているもの
 IVB期 小骨盤腔を超えて、がんの転移があるもの

図2 子宮頸がんの進行期別5年生存率(対象:2012年の診断症例)

図2 子宮頸がんの進行期別5年生存率(対象:2012年の診断症例)

日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会報告 第60回治療年報
(日産婦誌2019年71巻738頁)より

治療

子宮頸がんの治療には、手術、放射線治療および化学療法(抗がん剤による治療)があります。がんの病期や年齢、合併症の有無などそれぞれの病状に応じて選択されます(図3)。

図3 子宮頸がんの臨床進行期と治療法

図3 子宮頸がんの臨床進行期と治療法

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